島集落

石川県の手取川扇状地に点在する島集落

石川県の手取川扇状地には、独特な集落形態である「島集落」が点在しています。これは、扇状地上に集落が分散し、まるで島のように見えることから名付けられました。主に白山市の旧松任・鶴来地区や能美郡川北町で見られ、現在でも手取川沿いには「田子島」「舟場島」など、「島」の付く地名を持つ小集落が数多く残っています。

氾濫との闘いが生んだ集落形態

手取川は、その昔「暴れ川」として知られ、頻繁に氾濫を繰り返していました。そのため、人々は住居を構える際に、少しでも浸水の危険を避ける必要がありました。そこで、自然堤防のような微高地に集落を形成し、相対的に低い後背湿地は水田として利用するという、土地の特性を最大限に活かした生活様式が生まれました。この集落の配置が、手取川に浮かぶ島のように見えることから「島集落」と呼ばれるようになりました。

「島」の名の由来

島集落の多くは、「○○島」という地名を持っています。これは、氾濫時に集落が文字通り川に浮かぶ島のように見えたことに由来すると考えられています。これらの地名は、過去の自然災害の記憶を今に伝えるとともに、当時の人々の暮らしぶりを物語る貴重な手がかりとなっています。

近年の変化

近年、手取川の治水事業が進んだことで、氾濫の発生数は大幅に減少しました。さらに、金沢市の近郊という立地条件から、これまで集落が形成されていなかった後背湿地まで宅地開発が進むようになりました。その結果、島集落としての特徴が薄れ、かつての面影を失いつつある地区も少なくありません。

島集落の例

• - 典型的な島集落：川北町中島
• - 開発が進んだ集落：白山市漆島町

参考情報

• - 地理院地図（電子国土Web）
• - 手取川「霞堤」が土木学会の平成２４年度「選奨土木遺産」に認定（国土交通省 北陸地方整備局 金沢河川国道事務所）

島集落は、自然の脅威と共存しながら、その土地の特性を活かして暮らしてきた人々の知恵と工夫が詰まった、貴重な文化遺産です。その歴史と特徴を未来へと受け継いでいくことが求められています。

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