崙書房

崙書房出版株式会社

崙書房出版株式会社（ろんしょぼうしゅっぱん）はかつて日本に存在した出版社で、千葉県および茨城県に特化した書籍を数多く手がけていました。この出版社は地域の文化や歴史を広める重要な役割を果たしており、地元の作家を応援するとともに、多様な文献の復刻や新たな作品の発表の場を提供してきました。

創業と活動の概要

創業当初、崙書房は主に千葉県と茨城県についての文献を復刻していましたが、1977年からは「ふるさと文庫」というシリーズとして地域密着の新書を多数発行しました。この取り組みは地元の人々にとって、身近な歴史や文化に触れる良い機会となり、多くの愛読者が誕生しました。さらに、崙書房の出版物に感銘を受けた読者が自身の原稿を持ち込むことで、新たな出版物が生まれるサイクルが形成されました。これにより、新人の郷土作家が次々と登場し、地域文学の発展に寄与していたのです。

地元作家との関わり

流山市在住の作家、北野道彦や山本鉱太郎の著書も崙書房から出版されており、彼らが設立した流山市立博物館友の会の刊行物も多く扱いました。これにより、崙書房は千葉県や茨城県の地域文化を支える重要な存在となりました。特に、地域の文献を通じて、地元の歴史や文化についての理解を深める活動は、多くの読者に評価されたのです。

終焉と解散

しかし、2019年6月に崙書房は業務を終了し、同年の7月31日に会社を解散することが決定されました。社長である小林規一は、読者や著者、地域書店の減少が影響したと説明しており、今後の存続を模索していましたが、後継者が見つからなかったため、解散を余儀なくされたのです。これにより、地域の出版の重要な拠点が失われる結果となりました。

つげ義春との関わり

つげ義春という著名な漫画家も、崙書房に特別な思いを抱いていました。1977年、彼の妻が病気療養中に千葉県の流山市に一時的に引っ越した際、偶然に崙書房を見つけました。彼はその和室にあった多様な書籍に魅了され、特に千葉県の郷土史に関する出版物に対し深い感銘を受けました。『利根川随歩』などの書籍は、彼に新たなインスピレーションをもたらしました。

主な出版物

崙書房が発行した書籍には多くの重要な作品がありました。以下はその一部です：

• - 山本鉱太郎による『新編・川蒸気通運丸物語 - 利根の外輪快速船』
• - 添田知道の『利根川随歩』
• - 北野道彦の『利根運河 - 利根・江戸川を結ぶ船の道』など。

また、地域に根差した雑誌『常総の歴史』や『中世房総』も人気を博しました。これにより、崙書房は非常に多彩なラインナップを持つ出版社として知られ、多くの読者に愛され続けたのです。

崙書房の活動は、地域社会における文化の育成に貢献し、地元作家や地域への支援を通じて新たな文献の発展を促す大切な役割を果たしていました。その影響は今なお多くの人々に語り継がれています。

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