嵌頓包茎

嵌頓包茎（かんとんほうけい）

概要

嵌頓包茎は、男性の陰茎において発生する、医学的な緊急性の高い状態です。特に、生まれつき包皮が亀頭を覆っていて完全に剥くことが難しい真性包茎や、包皮の先端部分（包皮輪）が狭いために亀頭を完全に露出させることが困難な仮性包茎の方に起こりやすいとされています。この状態は、無理に包皮を反転させた際などに、反転させた包皮の狭い輪が亀頭の根元にある溝（冠状溝）の部分を強く締め付けてしまい、その結果、包皮が元の位置に戻せなくなってしまうことで発生します。

症状と危険性

包皮輪による締め付け（絞扼）が起こると、亀頭への血流が悪化します（血行障害）。これにより、亀頭は急速に赤紫色に変色し、大きく腫れ上がります（腫脹）。この腫れはさらに包皮が戻るのを困難にし、強い痛みを伴います。初期には少しの痛みや違和感であっても、時間とともに痛みは増し、腫れも悪化します。

嵌頓包茎を放置しておくと、締め付けによって血流が完全に途絶え、絞扼された部分の組織が壊死してしまう可能性があります。陰茎の機能に重大な影響を及ぼすだけでなく、全身に影響が及ぶ危険性も否定できません。そのため、嵌頓包茎は非常に危険な状態であり、速やかに適切な医療処置を受ける必要があります。自己判断で放置したり、無理に自分で戻そうとすることは症状を悪化させる可能性があるため避けるべきです。

治療法

嵌頓包茎を発症した場合、迅速な対応が求められます。治療の目的は、締め付けられている包皮を元の位置に戻し、亀頭への血流を回復させることです。

初期対応（用手整復）

まず最初に行われるのは、用手整復と呼ばれる処置です。これは、医師が亀頭の腫れを抑えながら、手で包皮を元の状態に戻そうと試みる方法です。腫れが比較的軽度であれば、この処置だけで改善することが多いです。

腫脹が強い場合の処置

手での整復が難しい場合、特に亀頭の腫れがひどい時には、腫れを軽減させるための処置を行います。局所を消毒した後、細い注射針を用いて腫れている部分に軽く数カ所刺し、溜まっている組織液（滲出液）を排出させることで腫れを和らげます。腫れが引いたところで、再度用手整復を試みます。

緊急手術（包皮背面切開術）

用手整復や穿刺による腫れ軽減処置でも包皮が元の位置に戻せない場合は、緊急手術が必要となります。この手術では、締め付けている包皮輪の一部を縦に切開し（包皮背面切開術）、締め付けを物理的に解除して嵌頓状態を解消します。これにより亀頭への血流が回復し、組織の壊死を防ぐことができます。

再発予防（環状切除術）

嵌頓状態が解消し、亀頭の腫れ（浮腫）が落ち着いた後、根本的な解決と再発を防ぐために、将来的に包茎手術（環状切除術）を行うことが推奨される場合があります。特に真性包茎や包皮輪が狭い仮性包茎の方にとって、包茎手術は嵌頓包茎の予防に非常に有効な手段となります。

嵌頓包茎は放置すると危険な状態であり、早期の診断と治療が非常に重要です。もし包皮が戻せなくなり、痛みや腫れを伴う場合は、ためらわずに速やかに泌尿器科などの医療機関を受診してください。

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