包茎

包茎：原因、症状、治療、そしてよくある誤解

包茎とは、陰茎の亀頭が包皮によって覆われ、容易に露出できない状態を指します。日本では「真性包茎」と呼ばれることもあります。本記事では、特に断りのない限り「真性包茎」を対象に解説します。包皮が亀頭を覆っていても容易にめくれる状態は「仮性包茎」と呼ばれ、これは通常、疾患とはみなされません。

包茎の解剖学的背景

陰茎は亀頭部と陰茎体部から構成され、包皮は内板と外板の2層からなります。通常、包皮を根元へ引っ張ると、内板が反転し亀頭が露出します。しかし、包皮口が狭窄していたり、包皮と亀頭が癒着している場合、包皮を反転させることが困難となり、包茎となります。

成人男性における包茎の罹患率は約1%とされています。新生児期には、ほぼ全ての男性が生理的包茎の状態にあり、成長とともに自然に改善することが一般的です。しかし、排尿障害や嵌頓包茎、亀頭包皮炎などの問題が生じた場合、小児期からの治療が必要となる場合があります。近年では、ステロイド剤を用いた治療や包皮翻転指導が効果を上げており、小児に対する手術件数は減少傾向にあります。成人になっても包皮が反転しない場合は、医療保険による治療が受けられます。

仮性包茎：よくある誤解

美容整形業界などで用いられる「仮性包茎」という用語は、医学的に正式な用語ではありません。割礼を受けていない多くの男性は、包皮が亀頭を覆っている状態ですが、これが必ずしも異常ではありません。世界的には、人口の8割が仮性包茎の状態であり、日本でも同様の高い割合を示します。本記事での解説は真性包茎に関するものであり、仮性包茎は対象外です。

包茎の問題点

包茎は、以下の様な問題を引き起こす可能性があります。

衛生面: 包皮と亀頭の間には、垢が溜まりやすく、不衛生な状態になりがちです。感染症や炎症、場合によっては尿路感染症や陰茎癌のリスクが高まる可能性が指摘されています。しかし、適切な清潔を心がけることで、これらのリスクを軽減できます。無理に包皮を剥がすと出血する可能性があるため、注意が必要です。
性行為: 包皮の引っ張りや摩擦によって、痛みや裂傷が生じる可能性があり、性行為が困難になることがあります。
尿路閉塞性疾患: 重度の包茎では、排尿困難が生じ、膀胱拡張、肉柱形成、水腎症、そして腎不全に至る可能性があります。
嵌頓包茎: 包皮を無理に反転させた状態が続くと、血液循環障害を起こし、包皮が腫れて激しい痛みを伴う嵌頓包茎になります。この状態は緊急治療が必要であり、放置すると壊死に至る危険性があります。

包茎の治療法

仮性包茎は治療の必要はありません。真性包茎の治療法としては、以下のようなものがあります。

薬物療法: 小児の包茎に対しては、副腎皮質ホルモン外用剤が有効な場合もあります。ただし、女性ホルモン製剤は副作用（女性化乳房など）に注意が必要です。
外科手術: 包皮環状切除術や包皮背面切開術が一般的です。背面切開術は主に乳幼児に行われます。嵌頓包茎の場合、手技による整復が不可能であれば手術が必要となります。手術を行うかどうかは、個々の状態を慎重に判断する必要があります。
* 割礼: キリスト教、ユダヤ教、イスラム教などでは、宗教的な理由から割礼が行われます。

女性器の包茎

女性器においても、陰核亀頭が包皮に覆われた状態を包茎と呼びます。男性と同様に、垢が溜まりやすく、炎症や悪臭、性交痛、不感症の原因となる可能性があります。必要に応じて、包皮切除手術などの治療が行われます。

まとめ

包茎は、その程度や症状によって治療の必要性や方法が異なります。気になる症状がある場合は、医療機関を受診し、適切な診断と治療を受けることが重要です。自己判断での治療は避けるべきです。

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