嶋中雄作

嶋中 雄作の生涯と業績

嶋中 雄作（しまなか ゆうさく、1887年2月2日 - 1949年1月17日）は、昭和時代の出版人として多くの功績を残した重要な編集者であり、特に中央公論社の社長として知られています。奈良県で誕生し、家族には社会運動家の兄、島中雄三がいます。

出身と学歴

彼は奈良県磯城郡三輪町で育ち、奈良県畝傍中学（現在の奈良県立畝傍高等学校）を経て、1912年に早稲田大学文学部哲学科を卒業しました。在学中、彼が師事した島村抱月や金子筑水教授の推薦によって中央公論社に入社します。この時期、彼は編集の才能を開花させる素晴らしい機会を得ました。

編集者としての軌跡

1913年に『中央公論』で婦人問題特集号を成功させた後、彼は1916年に『婦人公論』を創刊し、その初代編集長に就任します。彼は1925年に中央公論社の名編集長である滝田樗陰の後を受け継ぎ、『中央公論』と『婦人公論』の編集長を兼任しました。

1928年、社主が経営難から社を手放すことになり、彼はその会社を譲り受け、新たに社長に就任。彼自身が初めての単行本として出版したレマルクの『西部戦線異状なし』は、日本での大ヒット作品となりました。続いて、坪内逍遥訳の『新修シェークスピヤ全集』や谷崎潤一郎の『源氏物語』現代語訳など、次々とベストセラーを世に送り出しました。このように、彼は中央公論社を単なる雑誌社から書籍も出版する総合出版社へと成長させました。

社会的影響力

嶋中は文芸欄の充実を図り、新進作家たちにとっての重要な舞台を提供しました。また、吉野作造や大山郁夫の論文を多く掲載し、時代の風を捉えた編集方針が評価されました。さらに、彼はリベラル派の国際的ジャーナリストと共に「二七会」を結成し、国民学術協会を設立、著作や研究活動への資金的支援を行います。

戦時中の苦難

しかし、太平洋戦争中、反軍国主義的な姿勢を貫いたため、厳しい言論弾圧に直面しました。石川達三の『生きてゐる兵隊』を掲載したことが問題視され、中央公論社は1944年に解散命令を受けます。戦後、彼は中央公論を復刊しましたが、健康を害し、1949年に61歳でこの世を去ります。

家族と後継

彼の家族は、父である雄碩、兄の雄三、妻のチエ、そして彼の長男・晨也や次男・鵬二がいます。長男は早くに亡くなったため、次男が後を継ぎました。彼の業績は後に石川達三の小説に登場し、文化の発展に寄与したことが示されています。

結論

嶋中雄作は昭和期の出版界において重要な存在であり、その功績は今なお広く評価されています。彼が築いた中核的な編集理念や文化発展への貢献は、後世にわたり影響を与え続けることでしょう。

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