中央公論

『中央公論』について

概要

『中央公論』は、1887年に日本で創刊された月刊総合雑誌であり、現在も継続して発行されています。この雑誌は、最初は「反省会雑誌」として登場し、その後「中央公論」と改名される過程で、様々な文化や思想を提供してきました。発行元は1999年まで中央公論社でしたが、その後は中央公論新社が引き継いでいます。

歴史の始まり

『中央公論』の始まりは、1886年に西本願寺系の普通教校で結成された「反省会」にさかのぼります。この集まりは、禁酒と仏教徒の道徳的規範を推進するためのもので、その会員証を兼ねた機関誌が『反省会雑誌』でした。1887年8月に発刊された第1号以降、同年12月から定期刊行が開始されました。その後、1892年には東京に進出し、宗教的な側面から文学や評論などを扱う雑誌へと変化しました。

戦前の展開

1899年に『中央公論』と改題された後、この雑誌は徐々に宗教色を薄めていき、小説や政治評論など、多様なジャンルを取り扱うようになりました。特に大正時代には、平塚らいてうなどの新しい考え方をシェアした著者たちによって、多くの自由主義的な論文が掲載され、言論の中心的存在となりました。1919年には、急進的な雑誌『改造』が発刊されると、中央公論はより中道的な立場に立つようになり、人気作家たちが多くの作品を発表しました。

戦時体制とその後

第二次世界大戦の影響も受け、1944年に廃刊を余儀なくされたものの、終戦後の1946年に復刊し、再び多様な評論や小説を掲載する総合雑誌としての地位を確立しました。1960年には、深沢七郎の小説『風流夢譚』が元で右翼団体による社長宅襲撃事件が発生し、以降も天皇制に対する批判をタブー視する傾向が強まりました。

現在の状況

1999年、経営危機に陥った中央公論社は読売新聞社に引き継がれ、中央公論新社として存続。当時、競合誌が存在したため、中央公論はより保守的な色合いを持つようになりました。これにより、長い歴史の中で培われてきた中道的な論調が影を潜めることになりました。

読者数と評価

『中央公論』の過去の販売数は、1965年の80周年記念号や1970年の100号号において14万部に達し、20世紀の後半には、他の有名雑誌と同様な水準での販売を記録していました。また、論壇誌としての存在感は、他紙の時評においてもしばしば取り上げられ、批判的な評価もされつつながら、多くの作家や知識人に影響を与えてきました。三島由紀夫らが寄稿し、論壇でも重要なポジションを確立する一方で、否定的に扱われることも少なくありませんでした。

『中央公論』は、その長い歴史の中で、数多くの文学・文化・社会的な議論を展開し続けてきました。今後も、さらなる発展を期待される雑誌と言えます。

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