川上峡合戦

川上峡合戦（かわかみきょうかっせん）

川上峡合戦は、1561年9月13日に肥前国で行われた戦闘であり、武将・龍造寺隆信と肥前三瀬城主神代勝利との間で展開されました。この合戦は、戦国時代の日本における地域の争いの一例として知られています。

合戦までの経緯

天文22年（1553年）、龍造寺隆信は肥前に復帰し、以降、少弐氏との対立が続きました。隆信は永禄2年（1559年）には勢福寺城を攻略し、少弐冬尚を滅ぼすなど、優位に戦を進めましたが、少弐家臣の神代勝利は、山内の地形を利用し、隆信に抵抗を続けていました。

この情勢を受けて隆信は神代勝利を討伐する決意を固め、正式に勝利に挑戦状を送ります。「合戦して家の安否を定めたい」という意味合いを持つその内容に対し、勝利は「かねてより望むところ」と答え、戦火が交わされる運びとなります。

合戦の展開

そして、永禄4年（1561年）9月13日、両軍は川上にて相対しました。神代軍は金敷城山を背に持ち、4つの部隊に分けて迎撃態勢を整えました。

• - 仁王門（本陣）: 神代勝利（兵1,200人）
• - 宮原口: 神代長良（兵3,000人）
• - 宮の前大門: 神代種良（兵1,300人）
• - 都人来原: 神代周利（兵1,500人）

序盤、宮原口で激しい戦闘が展開され、神代長良と龍造寺隆信の本隊が激突しました。この戦いは「千騎が一騎になる」と評されるほどの乱戦となります。同時に、宮の前大門でも交戦が続き、いずれも接戦が繰り広げられていました。

しかし、局面が変わったのは都人来原の戦闘において、神代周利の部隊が突如として謀反に遭い、彼が斬殺されてしまいます。この混乱が続く中、周利の部隊は恐慌状態に陥りました。

この隙を突いた龍造寺軍は、優勢に立ち続けた神代軍の戦線へ分け入り、猛烈な攻撃を加えました。その結果、次々と神代軍の部隊が崩壊していきます。戦闘の淵で孤立した神代長良や八戸宗暘も撤退を余儀なくされ、やっとの思いで山内へと逃げ帰りました。

戦後の状況

川上峡合戦は、隆信の勝利に終わり、神代勝利軍は壊滅的な打撃を被りました。隆信は勝利・長良親子を取り逃がしましたが、山内の支配を獲得しました。隆信は、山内衆の土地を脅かす強硬策を避け、代官を置くことでしばらく様子を見ることにしました。

一方、勝利は山内での維持が不可能な状況に直面し、西肥前へと逃げ、西肥前から波佐見に入って大村純忠の庇護を受けます。しかし、戦から3ヶ月後、勝利は山内衆の助けを借りて秘密裏に帰還し、見事に頭領として返り咲きます。

その後も隆信は勝利排除を試みますが、成功しませんでした。永禄5年（1562年）、隆信が和解を申し入れ、勝利もその提案を受け入れる形で和議が成立します。この時、彼らは将来の縁組について合意し、両者の関係は新たな段階へ突入しました。

川上峡合戦は、戦国時代の複雑な人間関係と権力の変遷を如実に表す重要な出来事であり、地域の勢力図を大きく動かしました。

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