川上貢

川上 貢（かわかみ みつぐ）の業績と経歴

川上 貢は日本の建築史の分野で重要な貢献を果たした建築史家であり、1924年に大阪府で生まれました。彼は1949年に京都帝国大学を卒業し、その後同大学院で特別研究生として学びました。彼の研究は主に、中世日本の貴族住宅、特に鎌倉時代から室町時代にかけての建築に焦点を当てています。

教育と初期のキャリア

川上は東淀川区中津尋常高等小学校に入学し、のちに都島小学校に転校、建築に興味を抱いて大阪市立都島工業学校建築科に進学しました。1943年には大阪理工科大学に進み、その後京都帝国大学工学部建築学科に入学します。1949年に卒業後、彼は村田治郎教授のもとで建築の研究を続けました。

教職としては、1953年に京都大学工学部の講師となり、1955年には助教授に昇進、1958年には「日本中世住宅の研究」により工学博士の学位を取得しました。1966年には教授に就任し、教育にも力を注ぎました。一般に知られる業績の一つは、書院造に至る寝殿造の変遷を詳細に記述した著作です。

文化財保護と学会活動

川上は1976年から1994年まで文化庁文化財保護審議会の専門委員として活動し、建築文化の遺産保存に寄与しました。また、1987年から1989年までは建築史学会の会長を務め、学問的な発展に貢献しました。1988年に定年退官した後も、福井大学や大阪産業大学で教授職を続け、1994年からは財団法人京都市埋蔵文化財研究所の所長も務めました。

受賞歴と著作

彼の研究成果は多くの賞に結実しました。1959年には日本建築学会賞（論文賞）を授与され、2003年には旭日中綬章を受章。2010年には、「日本建築史に関する研究・教育と建築文化遺産保存活動の功績」で日本建築学会大賞も受賞しました。川上の著作には、『日本中世住宅の研究』や『禅院の建築』、『日本建築史論考』など多くの大作が含まれています。

最后に

川上 貢は2012年3月20日に亡くなるまで、87年の生涯を建築史の研究と教育に捧げました。彼の業績は日本の建築文化に大きな影響を与え、後世に多くの知見を残しました。その研究や著作は、今後の建築史の発展においても重要な資料として用いられ続けるでしょう。

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