川保天骨

川保 天骨（かわほ てんこつ）

1970年生まれ。福岡県出身。雑誌や書籍の編集者、著作家、写真家、空手家、そして音楽・映像プロデューサーとして、極めて多彩な経歴を持つ人物です。福岡県立小倉東高等学校を経て大東文化大学を卒業。

格闘家としての黎明期

高校卒業後の1988年に上京し、空道（旧称・大道塾空手道）の総本部へ入門。類稀な才能を示し、1990年の北斗旗空手道選手権大会無差別級では5位入賞を果たします。さらに1993年には体力別・中量級で優勝。しかし、同年にムエタイへの挑戦で敗北を喫し、翌1994年の日・タイ対抗戦でも再びムエタイのリングで敗れます。これを機に、公式な格闘技の試合からは退いています。

メディア業界での活動

格闘技と並行してメディアの世界にも足を踏み入れており、1992年頃から写真スタジオでアシスタントを務め、1993年には編集プロダクション有限会社ラッシュにカメラマン兼編集者として入社。この頃から「川保天骨」の名を使い始めます。ラッシュでの経験を経て、1999年にフリーランスとして独立。主に格闘技、グラビア、アイドル、サブカルチャー系の雑誌で活躍し、多くの武道家や格闘家を取材・撮影しました。真樹日佐夫氏の著書『すてごろ懺悔』の写真撮影も手がけています。

2001年には株式会社ギョクモンエンターテイメントを設立し法人化。雑誌編集、音楽、映像コンテンツ制作を手がけ、法人として初の出版物として特撮ヒロインに焦点を当てた雑誌『ヒロイン危機一髪』を創刊。ヒロインジャンルの情報サイトやDVDレーベルも展開し、この分野における主要なコンテンツプロデューサーの一人となります。

その後、社名を株式会社オルタナエンターテイメントに変更し、オルタナパブリッシング、ドラゴンフィルムなどのメディア事業を拡大。2008年にはブルース・リーや香港映画にインスパイアされたDVDムック『ドラゴンスピリッツ』を朝日新聞出版から刊行し、関連サイトやDVDレーベルも立ち上げました。2010年には刺激的な映像レーベルDEATH TRIP FILMや、現代野獣派を標榜するマガジン『ペキンパー』を創刊するなど、アングラ系のジャンルにも深く関与しています。2014年には『ドラゴン魂』を創刊し、『ドラゴンスピリッツ』の系譜を受け継ぎました。2017年には、かつて自身も関わった雑誌を発行していた倒産した福昌堂の版権などを取得し、出版事業の幅を広げています。

音楽活動と社会活動への転換

1997年からはドゥームロックバンド「太陽肛門」のベーシスト兼ヴォーカリストとしても活動。和製ドゥームロックを標榜し、アメリカのレーベルからアルバムを発表するなど海外での活動も積極的に行いました。1999年にはフランス・パリでのツアーを敢行し、成功を収めています。

2019年7月、株式会社オルタナエンターテイメントを解散。以降は社会活動へと軸足を移します。同年8月には一般財団法人国際真武士道財団の理事に就任し、道義出版を立ち上げて出版活動を開始しますが、2021年9月に財団理事を退任。同時期に一般社団法人日本民間防衛連合会の設立に関与し、事務局長に就任するなど、日本の現状に警鐘を鳴らす社会活動に積極的に関わっています。2022年2月にはYouTubeチャンネル「日本再生TV」の立ち上げにも参加し、社会問題や国際問題に関する情報発信を行っています。2023年5月には道義出版から「憂国オピニオン誌」を謳う雑誌『真武士道』を創刊。

2024年1月からは古巣である大道塾の広報部部長に就任し、WEBマガジン『大道無門』や公式YouTubeチャンネルの運営に携わっています。また、2025年6月には田中光四郎氏が設立した一般社団法人日本護身術普及協会の監事に就任予定と、その活動は多岐にわたり、常に新たな分野への挑戦を続けています。

主な関連作品

出版物：『ヒロイン危機一髪』、『ドラゴンスピリッツ』、『ペキンパー』、『ドラゴン魂』、『真武士道』、ブルース・リー関連書籍多数、武道・格闘技関連書籍多数など。
映像作品：『バトルヒロイン倶楽部』、『ネクロフェイジア 殺人遊戯』、太陽肛門関連作品、格闘技関連ドキュメンタリーなど。

川保天骨氏は、一人の人間が空手家、ミュージシャン、編集者、写真家、プロデューサー、社会活動家と、これほど多様な顔を持つこと自体が極めて稀有であり、その精力的な活動は多くの人々に影響を与えています。

もう一度検索