川口ゆり子

川口 ゆり子（かわぐち ゆりこ）

川口ゆり子は、日本のバレリーナ、振付家、さらにはバレエ指導者として名を馳せた人物です。1950年9月27日生まれの彼女は、東京都にて生を受け、幼少期からバレエに魅了されました。彼女のバレエキャリアは、橘秋子に師事することで始まり、その才能は早くから評価されました。特に、彼女の若い頃には少女雑誌の表紙を飾るなど、アイドル的な存在となったこともあります。

彼女の主役デビューは1964年で、橘振付の『運命』で果たしたのを皮切りに、同年および翌年には『くるみ割り人形』のクララ役を見事に演じました。その後、彼女は1969年にニューヨークへ留学し、名バレエ指導者イゴール・シュベッツオフのもとで学びました。帰国後は牧阿佐美バレヱ団に所属し、プリマ・バレリーナとして数多くの作品で重要な役を演じました。

1972年には芸術選奨新人賞を受賞しましたが、その後彼女は腎臓結石に苦しむことになります。この病気によって一時的に舞台から離れることを余儀なくされました。主催者である牧阿佐美からの心配の声が寄せられる中、川口は一時は引きこもりがちになりました。しかし、友人でありバレエ指導者でもある服部智恵子からの励ましの手紙がきっかけで、再び舞台に立つ決意を固めます。手術を経ずに腎臓結石を克服した後、久しぶりの舞台『ラ・バヤデール』でのコール・ド・バレエとしての出演が彼女の再出発となりました。

1979年には国際的なバレエ指導者テリー・ウエストモーランドとの出会いが彼女のキャリアに新たな転機をもたらしました。ウエストモーランドの厳密な指導の下、川口は『ライモンダ』の舞台に立ち、その舞台経験は彼女自身や団員たちの技術向上に繋がったと彼女は述べています。数々の海外公演や国際フェスティバルにも参加し、特に1982年にはポルトガルでの公演が記憶に残るものとなりました。

指導者としても活躍する川口は、1973年に八王子で「川口ゆり子バレエスクール」を設立。1989年には優秀な生徒の舞台を提供するために「ユースバレエ・シャンブルウエスト」を立ち上げ、1999年に「バレエ シャンブルウエスト」と改称しました。その活動を通じて、多くの優れたバレエダンサーを育て上げ、彼女自身も数々の作品で振付や出演を行ってきました。

川口の代表作である『シンデレラ』や『タチヤーナ』は、高い評価を得ており、特に『タチヤーナ』では彼女自身が主演し、芸術的評価も高まりました。受賞歴も豊富で、2006年には文部科学大臣賞も授与され、優れた指導者としての地位を確立しました。

自身の病歴を踏まえ、川口は舞台作品の創作や後進育成に加えて、生徒たちの健康管理にも細心の注意を払っています。体調管理の重要性を訴え、若いダンサーたちには無理なダイエットを避けるように指導しています。川口ゆり子のバレエに対する情熱と献身は、彼女の舞台にも指導にも色濃く反映されており、今後の活躍も期待されます。

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