川口市めぐりの森

川口市めぐりの森：60万都市の祈りの場

埼玉県川口市に位置する「めぐりの森」は、市営の火葬場です。隣接するさいたま市に次ぐ、約60万人の人口を抱える川口市において、火葬場は長らく不足していました。市民は、隣接する草加市の斎場や、東京都板橋区の斎場などを利用せざるを得ない状況でした。

高齢化社会の進展を背景に、川口市は火葬場の建設を決定。赤山歴史自然公園の整備計画と一体的に進められ、2016年1月21日に起工式が行われました。そして、2018年4月3日、伊東豊雄氏設計による「めぐりの森」が開業しました。伊東豊雄氏の火葬場建築としては、岐阜県各務原市の「瞑想の森 市営斎場」に続く2作目となります。

めぐりの森：設備と立地

「めぐりの森」は、大字新井宿に所在し、赤山歴史自然公園（大字赤山）に隣接しています。建築面積5493.44㎡、延床面積7761.92㎡の規模を誇り、火葬炉は10基（予備4基）を備えています。予備炉の存在は、万が一の故障時にも迅速な対応を可能にし、市民の弔いの場としての信頼性を高めています。

アクセスは、首都高速川口線新井宿出入口、東京外環自動車道川口東ICから車でアクセス可能です。公共交通機関では、埼玉高速鉄道新井宿駅から徒歩15分と、比較的アクセスしやすい立地にあります。

歴史と背景：地域ニーズに応える

「めぐりの森」建設の背景には、川口市の急速な人口増加と高齢化が大きく影響しています。従来の火葬場不足は、市民にとって大きな負担となっていました。遠隔地への移動は、高齢者や遺族にとって、精神的にも肉体的にも大きなストレスでした。

「めぐりの森」の建設は、単なる火葬場の設置ではありません。高齢化社会における弔いの場の確保という、地域社会の重要なニーズに応える取り組みとして位置づけられています。また、赤山歴史自然公園と一体的な整備計画によって、自然環境との調和も図られています。

まとめ：現代社会における弔いの場のあり方

「めぐりの森」は、単なる火葬場にとどまらず、地域住民の心の支えとなる存在です。高齢化社会における弔いの場の必要性と、自然環境との調和を両立させたその取り組みは、今後の都市計画における火葬場整備のモデルケースとなる可能性を秘めています。アクセスも良く、設備も整った「めぐりの森」は、川口市の発展と市民生活の質を高める上で重要な役割を果たしていると言えるでしょう。今後の利用者増加や、地域社会との更なる連携も期待されます。

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