川口正志

川口正志：部落解放運動に生涯を捧げた男

川口正志（1934年 - ）は、奈良県御所市出身の部落解放運動家。
部落解放同盟奈良県連合会（以下、奈良県連）の重鎮として、長年にわたり部落解放運動を牽引してきた人物です。

生い立ちと初期の活動

川口は、現在の御所市にあたる被差別部落に生まれ育ちました。
中学校卒業後、京都市や大阪市、北九州市で職を転々としながら苦労を重ね、帰郷後に青年団活動に参加。
1957年、部落解放同盟奈良県連合会の創立に参画し、書記として活動を始めました。

翌年には県連柏原支部の書記長に就任し、1962年には奈良県連書記長に就任するなど、着実に組織内での地位を確立していきます。

政治家としての活動

1966年、川口は御所市議会議員に初当選し、2期8年務めました。
1979年からは奈良県議会議員として、県政の舞台で部落解放運動に取り組みました。

1982年には、部落解放同盟中央本部副執行委員長と部落解放同盟奈良県連合会委員長に就任。
部落解放運動の中心人物として、その存在感を示しました。

土地転がし事件と山川戦争

1982年、川口に大きな転機が訪れます。
国体ラグビー会場用地をめぐる土地転がし事件に関与したとして、奈良地方検察庁に告発されたのです。

共犯とされた社長は逮捕されましたが、当時の奈良県連幹部の尽力により、川口は逮捕を免れました。
しかし、この事件をきっかけに、山下力との間に確執が生まれます。

事件後、川口が部落大衆の前で「部落の人が全員金持ちになって欲しい」と演説したことに対し、山下が不信感を抱いたことがきっかけでした。

1993年、奈良県連は分裂。
川口が率いる県連（通称「川口県連」）と、山下が率いる県連（通称「山下県連」）が対立する、いわゆる「山川戦争」が勃発しました。

その後

2022年、川口は高齢者叙勲で旭日中綬章を受章。
長年の部落解放運動への貢献が認められました。
現在も部落解放同盟奈良県連合会常任顧問として、その経験と知識を活かして活動を続けています。

川口正志は、部落解放運動の黎明期から現代まで、その最前線で戦い続けてきた人物です。
土地転がし事件や山川戦争など、数々の困難を乗り越えながらも、部落差別のない社会の実現を目指し、生涯を捧げました。

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