川島博之

川島博之（かわしま ひろゆき）

川島博之（かわしま ひろゆき）は、1953年11月29日生まれの日本の開発経済学者であり、工学博士である。現在、ビングループの主席経済顧問を務める。彼は元東京大学大学院農学生命科学研究科の准教授で、主に農業とアジア経済の観点から開発経済学を研究している。

略歴

川島氏は東京都に生まれ、1977年に東京水産大学を卒業した。その後、1983年に東京大学大学院工学系研究科の博士課程を修了した。1984年3月には「都市河川汚濁回復に関する研究」という学位論文をもとに東京大学から工学博士の学位を授与された。彼の経歴には、東京大学生産技術研究所の助手、農林水産省農業環境技術研究所の主任研究官、ロンドン大学の客員研究員、東京大学大学院農学生命科学研究科准教授などが含まれる。

2011年には日本政府の行政刷新会議ワーキンググループでの評価者としての役割も務めた。

主要な主張

川島氏は、化学肥料の普及がもたらした穀物の大量生産によって、食料危機は起こり得ないと考えている。これに伴い、食料自給率に対する過度のこだわりは必要ないと唱える。また、アジアの経済発展を分析する際、特に注目すべき現象として、経済開発に伴って農村から都市への人口移動が挙げられる。アジアの農村は人口 densityが高いことから、都市人口が急増しやすく、これが都市と周辺地域の地価高騰を招くと指摘している。彼はそのため、従来の農業経済学が行ってきた農業や農村の分析は、アジア経済の発展を理解する上での有効な手法ではないと主張している。

著作

川島氏は、数多くの著作を発表している。主な著書には、
1. 『世界の食料生産とバイオマスエネルギー』（2008年）
2. 『「食糧危機」をあおってはいけない』（2009年）
3. 『農民国家・中国の限界』（2010年）
4. 『「食料自給率」の罠　輸出が日本の農業を強くする』（2010年）
5. 『食の歴史と日本人　『もったいない』はなぜ生まれたか』（2010年）
6. 『「作りすぎ」が日本の農業をダメにする』（2011年）
7. 『電力危機をあおってはいけない』（2011年）
8. 『戦略決定の方法 ビジネス・シミュレーションの活かし方』（2012年）
9. 『データで読み解く中国経済 やがて中国の失速がはじまる』（2012年）
10. 『日本人が誤解している東南アジア近現代史』（2020年）
などがある。

また、彼は共著や共編の名義でもさまざまな書籍に参加しており、その中には「地球温暖化」「CO2犯人説」などに関するものも含まれる。

結論

川島博之は、その豊富な経験と専門知識を活かし、アジア経済の特異性を斬り込む視点でさまざまな問題を掘り下げている。彼の研究や著作は、開発経済学の分野において重要な貢献をしている。

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