川崎市多摩川丸子橋硬式野球場

川崎市多摩川丸子橋硬式野球場について

川崎市多摩川丸子橋硬式野球場は、神奈川県川崎市中原区、多摩川の右岸河川敷に位置する野球場です。東急東横線の多摩川橋梁のすぐ西側にあります。この場所は、かつて日本ハムファイターズの前身球団である東映フライヤーズが1961年に開設した二軍専用球場、日本ハム球団多摩川グランドがありました。その後、施設の老朽化や様々な問題から、1997年に日本ハム球団が撤退し、2011年に川崎市が再整備し、現在の形になりました。

歴史

この場所は、1936年には日本初の常設サーキット「多摩川スピードウェイ」があった場所でした。しかし、1940年代後半に閉鎖され、その後、野球場として利用されるようになりました。

日本ハム球団多摩川グランド時代

1961年、東映フライヤーズが二軍の本拠地および練習場として開設しました。その後、日拓ホームフライヤーズ、日本ハムファイターズと球団名が変わりながらも、二軍の本拠地としてイースタン・リーグの公式戦が行われました。近隣には球団の合宿所「勇翔寮」があり、若手選手の育成拠点として長年利用されてきました。

当時、多摩川周辺には、読売ジャイアンツ（巨人軍多摩川グラウンド）、大洋ホエールズ（大洋多摩川グランド）など、複数の球団が練習場を構えていました。

しかし、施設の老朽化に加え、観客席や更衣室などの設備が不十分であり、観客サービスに課題がありました。また、外野後方にある東急東横線の橋梁を電車が通過する際に、騒音や視認性の低下で試合が一時中断されるなどの問題もありました。

1992年からは、相模原市の神奈川県立相模原球場を本拠地とするようになり、多摩川グランドは練習のみに使用されるようになりました。1997年に千葉県鎌ケ谷市に「日本ハムファイターズタウン鎌ケ谷」が完成したことで、多摩川グランドは閉鎖されました。しかし、その後も駒場学園高等学校硬式野球部が練習場として使用するなど、有効活用されていました。2001年には、MLBのボストン・レッドソックスが入団テストを開催したこともあります。2011年3月31日、借地契約満了により日本ハム球団から国へ返還され、一度閉鎖となりました。

市営化後

2011年5月、川崎市が国から土地を購入し、市民向けの野球場として再整備されました。市民からの「硬球が使える球場を残すべき」という声に応え、硬式野球が可能な球場として生まれ変わりました。2015年4月に「川崎市多摩川丸子橋硬式野球場」として再オープンしました。

改修後の球場は、両翼97m、中堅122mとアマチュア野球の規格を満たしており、高校野球や大学野球の試合も開催可能になりました。しかし、河川敷に位置するため、増水対策としてスタンドや照明設備は設置されていません。観客は土手から観戦することになります。

利用条件

市民が優先的に利用できるように、以下の条件が設けられています。

チーム登録所在地が川崎市内であること
チーム名に川崎市に由来する地名が含まれていること
選手・役員の半数以上が川崎市在住・在勤であること
チームの代表者が川崎市在住・在勤であること
硬式野球を目的とする定期的な活動を行うチームであること
組織的なチームで河川敷利用者の安全を確保できること

施設概要

両翼：97m、中堅：122m（日本ハム球団時代は両翼：92m、中堅：120m）
内野：クレー舗装、外野：天然芝
照明設備：なし
スコアボード：パネル式
* 収容人員：観覧設備なし

その他

1960年代から1980年代にかけて、多摩川河川敷周辺には、日本ハムの他に読売ジャイアンツや大洋ホエールズも練習場を持っていました。これらの球場は、それぞれチームの歴史とともに人々に親しまれましたが、時代とともに姿を消していきました。現在、多摩川丸子橋硬式野球場は、市民の野球の拠点として、新たな歴史を刻んでいます。

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