川崎清貴

川崎 清貴（かわさき きよたか）

1950年7月11日生まれ。広島県呉市出身の元陸上競技選手で、男子円盤投の分野で日本を代表する存在でした。中京大学体育学部を卒業。身長198センチメートル、体重100キログラムという、円盤投選手として理想的な体格を誇りました。

学生時代からその才能は際立っており、広島県立広高等学校を経て進学した中京大学では、1970年から全日本大学対抗選手権（インカレ）において3年連続で優勝を飾るという快挙を成し遂げました。大学卒業後、大昭和製紙に入社して競技を続け、社会人選手としても輝かしい成績を残します。

国内最高峰の大会である日本陸上競技選手権大会では、通算6度の優勝を果たしています。特に、1973年と1974年には2年連続、さらに1976年から1979年にかけては4年連続でタイトルを獲得するなど、長きにわたり日本のトップ選手として君臨しました。

川崎氏のキャリアにおいて特筆すべきは、自らが打ち立てた日本記録を、実に6度も更新したことです。初めて日本記録を更新したのは1974年で、それまで梁川昌三氏が10年間保持していた52メートル22センチの記録を、52メートル86センチとして塗り替えました。翌1975年には53メートル18センチへとさらに記録を伸ばしました。

そして、川崎氏の円盤投人生における最大のハイライトともいえるのが、1979年4月22日に樹立した60メートル22センチの日本新記録です。この記録は、日本人として初めて60メートルの大台を超える投擲を成功させた歴史的な一投であり、日本の円盤投界における新たな扉を開きました。この偉大な記録は、その後約38年もの長い間破られることがありませんでした。具体的には、2017年7月22日に堤雄司選手が60メートル37センチをマークするまで、昭和時代に記録された陸上競技の日本記録としては、唯一残っていた「最古の日本記録」としてその名を刻みました。川崎氏が切り拓いた60メートルラインは、日本人選手にとって長年の目標となり、次にこのラインを超えた畑山茂雄選手の登場は、川崎氏の記録から約28年後の2007年でした。

こうした輝かしい功績が認められ、1976年には日本陸上競技連盟から勲功章を受章しています。

現役引退後は、後進の指導にあたる時期もありましたが、程なくして陸上競技界の第一線からは退きました。晩年はオーストラリアに移住されたと伝えられています。

川崎清貴氏は、その圧倒的な体格と類稀なる技術、そして飽くなき向上心によって、日本の円盤投のレベルを飛躍的に向上させたパイオニアであり、特に約38年もの間破られなかった日本記録は、彼の偉大さを物語る揺るぎない証として、日本の陸上競技史に深く刻まれています。

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