川棚川

川棚川について

川棚川（かわたながわ）は、佐賀県と長崎県の境界にある桃ノ木峠を水源としており、大村湾へと流れ込む二級河川です。この川は長崎県において延長が4位、流域面積が3位であり、流域の規模は非常に大きいことが特徴です。また、大村湾に流れ込む河川の中で最大のものとなっています。

流域の特徴

川棚川は桃ノ木峠から北に流れ出し、緩やかに西へ向きを変えつつ、波佐見町の中央部を流れます。この間、中尾川、村木川、長野川といった多くの支流を集めます。流れは蛇行しており、南に向かうにつれて水流の方向が変わり、さらなる支流と用水路を分岐させながら、川棚町へと入ります。

川棚町では中山川や猪乗川、石木川など重要な支流と合流し、はじめに数百メートルもの平野を蛇行しながら流れ、大村湾へと流れ込むのです。この下流域は商業・工業用地に開発されており、河口では川棚港としても利用されています。

川棚川の流域には、約1,000ヘクタールの水田が広がっており、県内屈指の穀倉地帯を形成しています。農業だけでなく、上水道や陶磁器工業用の水源としても利用されており、地域の人々の生活を支えています。また、内水面漁業協同組合も存在し、漁業活動も行われています。

川の生態系も非常に豊かで、多くの水生生物が生息しています。特に純淡水魚に関しては、九州北部との関連性が見られます。九州内でも長崎県は河川流域が少ないため、特定の魚種が見られませんが、川棚川は九州北部の生物を多く含んでおり、ムギツクやカマツカのような珍しい魚も見られます。

支流と流れの特性

川棚川には多くの支流があります。全体としての本流は比較的穏やかな流れですが、支流の中には急流の部分も存在します。これにより流域内での水の動きや水資源の利用に対して異なる要素が加わっています。

石木ダム計画

川棚川の支流である石木川には、「石木ダム」が計画されています。このダムは堤高55.4メートル、堤頂長234メートルの重力式コンクリートダムで、総貯水量は548万立方メートル、うち518万立方メートルが有効貯水量として予定されています。ダムの建設に当たっては、多くの土地が水没する可能性があり、水田や畑、宅地などが影響を受けるため、地域住民との対立が発生しています。

石木ダムの計画は1972年に発表されましたが、長崎県や佐世保市が水源確保を望む一方で、地域住民は反対の立場を表明しており、現在もダム本体の着工に向けた目処は立っていません。2019年には国土交通省が関連地域の指定を行い、収用委員会の取り決めも行われました。ダム開発に関しては今後も地域住民との意見調整が続くでしょう。

まとめ

川棚川は、その豊かな自然環境と地域経済に対する重要な役割がある河川です。しかし、今後の石木ダム計画を巡る地域社会の意見の対立は、この川の未来に大きな影響を及ぼすことから、地域の皆さんがどのように共存していくかが重要となってきます。

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