川田侃

川田侃（かわた ただし）は、1925年6月22日に栃木県栃木市で生まれ、2008年2月14日に生涯を閉じた日本の経済学者です。国際経済学と国際関係論を専門とし、その研究は学術界に大きな影響を与えました。彼は東京大学名誉教授および上智大学名誉教授の称号を持ち、日本学士院の会員でもありました。

生い立ちと教育

川田侃は、東京帝国大学法科大学を卒業した弁護士、川田準一郎を父に持ちます。旧制東京高校を経て、東京大学経済学部に進学しました。大学卒業後は高校教諭を務めた後、研究者の道へと進みました。

研究活動

川田侃は、国際経済学および国際関係論の分野で多岐にわたる研究活動を行いました。東京大学社会科学研究所研究員、東京大学教養学部助手・助教授、東京大学経済学部助教授・教授、上智大学外国語学部教授、フェリス女学院大学教授を歴任し、多くの学生を育てました。

主要な業績

川田侃の業績は、国際政治経済学の発展に大きく貢献しました。特に、帝国主義、権力政治、南北問題、経済摩擦といった現代国際社会の重要な課題について、経済学の視点から分析を行い、その解決策を模索しました。彼は、国際的な視点から平和と経済発展の重要性を説き、その思想は多くの人々に影響を与えました。

著書

川田侃は、数多くの著書を執筆しました。以下に主な著書を挙げます。

『国際関係概論』（1958年）
『經濟學講義』（1959年）
『世界経済入門』（1963年）
『帝国主義と権力政治』（1963年）
『現代国際経済論』（1967年）
『アジアの挑戦』（1969年）
『軍事経済と平和研究』（1969年）
『「小日本主義」のすすめ――平和のための経済学』（1972年）
『自立する第三世界と日本――現代における平和の構造』（1977年）
『国際関係の政治経済学』（1980年）
『経済摩擦』（1982年）
『南北問題――経済的民族主義の潮流』（1983年）
『新・経済摩擦』（1986年）
『国際政治経済学をめざして』（1988年）
『国際政治経済を見る眼』（1991年）

また、以下のような共著・共編著も手掛けています。

（徐照彦）『現代国際社会と経済』（1983年）
（三輪公忠）『現代国際関係論――新しい国際秩序を求めて』（1980年）
（西川潤）『太平洋地域協力の展望』（1981年）
（碓氷尊）『経済発展と技術移転――ラテンアメリカの工業化を中心に』（1983年）
（石井摩耶子）『発展途上国の政治経済学』（1987年）
（鶴見和子）『内発的発展論』（1989年）
（大畠英樹）『国際政治経済辞典』（1993年／改訂版、2003年）

これらの著作は、国際関係論や国際経済学を学ぶ上で重要な文献として、現在も広く読まれています。

著作集

川田侃の業績をまとめた著作集『国際学（全6巻）』（1996年-1998年）は、彼の研究の全体像を把握する上で非常に価値があります。

「国際関係研究」
「権力政治研究」
「平和研究」
「南北問題研究」
「国際経済研究」
「国際政治経済研究」

栄典

1998年には、その功績が認められ、勲二等瑞宝章を受章しました。また、没後には従四位を追贈されました。

死去

川田侃は、2008年2月14日に亡くなりましたが、彼の残した学問的な遺産は、今日の国際関係論研究においても重要な意味を持ち続けています。彼の研究は、国際社会の平和と発展を考える上で、今後も重要な示唆を与え続けるでしょう。

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