川野浩一

川野浩一の生涯と平和活動

川野浩一（かわの こういち）は、1940年に朝鮮半島の平安北道で誕生しましたが、父の徴兵に伴い、1941年に長崎市へ引き揚げました。彼は特に1945年8月9日、長崎での原子爆弾投下により被爆し、爆心地から約3キロの場所に住んでいたため、甚大な影響を受けたことを自身の活動の原動力にしています。彼の曽祖母が爆心地付近の浦上で亡くなるという悲劇的な出来事も、彼の人生に深く影響を与えました。

長崎県立長崎東高等学校を卒業した後、川野は1958年より結核治療のため入院し、その期間に60年安保闘争が盛んになっていく様子を目の当たりにしました。この経験は、彼に劣等感を抱かせるきっかけともなり、後の活動の方向性に大きな影響を与えました。

1961年に長崎県に入庁すると、彼は組合活動に情熱を注ぎ、長崎県職員労働組合の青年部長や書記長、さらには長崎県労評センターの議長などを歴任しました。それだけでなく、川野は原水爆禁止運動にも参加し、被爆者の援護活動にも力をいれるようになりました。2003年からは長崎県平和運動センターの被爆者連絡協議会の議長を務め、被爆者の権利擁護と支援に尽力しました。

全国規模での運動にも関与し、原水爆禁止日本国民会議（原水禁）では副議長を経て、2009年に議長に就任しました。彼は、国が設定した被爆地域に基づく基準を批判し、被爆体験者の権利保護の重要性を強調しています。

具体的には、被爆体験者を被爆者として認めるよう国に求めており、また、自身が生まれた北朝鮮に暮らす被爆者への支援活動も行っています。2007年には原水禁訪朝団の副団長として活動し、被爆者の健康手帳取得を目指して、関係者との面会や政府との交渉に尽力しました。

川野は脱原発の立場を明確にし、特に2011年の福島第一原子力発電所事故を受けてその主張を強化しました。2012年の平和会議においては、「核と人類は共存できない」というメッセージを発信し、これが大きな反響を呼びました。この発言に対して、原子力の平和利用を訴える核禁会議は反発し、結果的に三者共催を断念することとなりました。

川野浩一の活動は、被爆の経験を踏まえた平和のための闘争として評価されています。彼は、日本国内外において、原水禁運動や脱原発の重要性を訴え続け、被爆者の支援と権利擁護に邁進しています。その生涯を通じて、平和を求める活動を続ける川野の姿勢は、被爆者の心の声を代表するものとして、今後の活動にますます注目が集まることでしょう。

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