州権民主党

州権民主党の概要

州権民主党（しゅうけんみんしゅとう、英: The States' Rights Democratic Party）は、アメリカ合衆国で1948年に設立された政党であり、極右的な人種分離主義や白人至上主義を特徴としています。主に南部の白人民主党員を中心に結成されたこの政党は、トルーマン政権の公民権政策に強く抵抗する形で発展しました。一般的には「ディキシークラット（Dixiecrat）」として知られており、これは「南部の民主党」を意味する造語です。

歴史的背景

南部は、トマス・ジェファソンがリパブリカン党を立ち上げた時代から、農業を支える社会構造を背景に民主党の強固な地盤でした。南北戦争などを経て、南部の白人層は一党支配の民主党のもとに集結し、ジム・クロウ法による人種隔離政策が支配する社会が築かれました。大恐慌の後、ニューディール政策により南部の経済基盤も変化を見せますが、このような変革に対抗する形で白人層は一層保守的になり、政治的な力を強化していきました。

1948年の大統領選挙と州権民主党の誕生

1948年、大統領トルーマンが公民権拡大を掲げると、南部の民主党員の間で反発が生まれました。この流れを受けて、フィラデルフィアで開かれた民主党大会では独自の政党を立ち上げることが決まり、ストロム・サーモンドが党の大統領候補に選出されました。

州権民主党は、その信条として「州の権利の擁護」を掲げ、ジム・クロウ法の保存と人種隔離政策の推進を目的に活動しました。具体的には、州法によるアフリカ系アメリカ人の公民権を制限する制度の維持を主張しました。

選挙結果とその後

州権民主党は主に南部の州で一定の支持を得ましたが、すべての南部州で成功したわけではなく、サウスカロライナやアラバマなどの州では勝利を収めましたが、その他の州ではトルーマンが優勢でした。1948年の大統領選の後、党は短命のうちに解消し、大半の党員は民主党に戻ることになります。しかし、南部における公民権問題を巡る対立は、その後も続きました。

南部の変遷と公民権運動への影響

1950年代から1960年代にかけて、南部は急速に変化を遂げますが、依然として保守的な姿勢が目立ちました。特に、南部の白人は1964年公民権法に対し、自らの権威を脅かすものとして敏感に反応しました。この結果、共和党候補であるバリー・ゴールドウォーターに支持が集まり、かつての「ニューディール連合」が崩壊する契機となりました。

ニクソン政権以降、南部では「南部戦略」と呼ばれる共和党の政策によって、保守的な白人層が共和党に移行する現象が加速しました。このような流れは、州権民主党時代の考え方から脱却し、現代のアメリカ政治において共和党の強固な地盤を形成する結果となっています。

まとめ

州権民主党は、公民権問題を巡る南北分断の象徴的な存在であり、その影響は現在のアメリカ政治にも色濃く残っています。時代背景や党の動向により、南部は援助を受ける一方で、目的に応じて政治的選択を変化させてきました。彼らの主張は、州権を主張しつつ、実際には人種隔離を正当化する形で展開され、アメリカの歴史に深い影を落としたと言えるでしょう。

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