巡航ミサイル潜水艦

巡航ミサイル潜水艦について

巡航ミサイル潜水艦は、巡航ミサイルの発射を目的とする潜水艦であり、その重要な役割のため様々な国で運用されています。特に、アメリカ海軍とロシア海軍ではその展開が顕著であり、各国の戦略的能力向上に寄与しています。

アメリカ合衆国海軍

アメリカ海軍では、巡航ミサイル原子力潜水艦をSSGNと呼びます。SSは「潜水艦」(Submersible Ship)を、Gは「誘導ミサイル」(Guided Missile)、Nは「核動力」(Nuclear Powered)を意味し、これがその特性を示しています。最初のSSGNは1950年代に建造された「USSハリバット」で、当初はレギュラス核弾頭を搭載していましたが、その後ポラリス潜水艦発射弾道ミサイルが開発されると、レギュラスの搭載は終了しました。

オハイオ級潜水艦

アメリカ海軍のオハイオ級戦略ミサイル潜水艦（Ohio class submarine）の中で、初期に建造された4隻が改造されSSGNへと変貌を遂げました。この改造は冷戦の終結とアメリカの戦略が変化したことに起因し、従来の核ミサイル発射任務から、敵目標近くへのNavy SEALs派遣および支援へとその役割をシフトさせました。

改造の具体的内容

オハイオ級潜水艦は24基のミサイル発射管を持っていますが、これを改造して22基をトマホーク巡航ミサイル用の複数円形収納筒（MAC）を備えた垂直発射システムに換装しました。残り2基は特殊作戦要員の輸送用にロック・アウト・チェンバーに改装されています。この変更により、最大154発のトマホークを搭載できるだけでなく、無人機（UAV）や無人潜水機（UUV）も発進可能となり、艦自体が前線の指揮センターとして機能する能力を持つことになりました。

さらに、改造されることで艦長の役割も重要度を増し、これまでの中佐から大佐に昇格することが求められました。特に、トマホークを多数搭載し、特殊作戦隊員の指揮を行う巡航ミサイル潜水艦は、その戦略的重要性から新たな指導体制が整えられました。アメリカ海軍は2013年以降、核弾頭型トマホークの運用を終了しており、そのため現在搭載しているのは非核弾頭のみです。

ロシア海軍

一方、旧ソビエト連邦の海軍も多くの巡航ミサイル潜水艦を保有しています。西側ではこれらを「巡航ミサイル潜水艦」と呼び、国内では「有翼ロケット搭載型ロケット水中巡洋艦」と呼ばれています。NATOコードネームでは、エコー型やチャーリー型、オスカー型などがそれに該当します。これらは高性能の巡航ミサイルを搭載しており、特にP-700ミサイルがその特徴です。クラブミサイルの登場によって、これらの潜水艦の攻撃能力も大幅に向上しました。

まとめ

巡航ミサイル潜水艦は、戦略的な役割を果たす重要な軍事資産です。特にアメリカとロシアにおいて、その運用と能力の向上は冷戦後の地政学的環境において重要な意味を持っています。このような潜水艦の進化は、未来の戦争における潜水艦の役割に関する新たな議論を引き起こしています。

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