巡航戦車 Mk.IV

巡航戦車Mk.IV：第二次世界大戦初期を支えたイギリスの戦車

第二次世界大戦の初期、イギリス陸軍は巡航戦車Mk.IV(A13 Mk.II)を主力戦車として運用しました。本車は、前身である巡航戦車Mk.IIIの改良型であり、装甲強化が主な変更点です。665両が生産され、主に大戦初期の戦場で活躍しました。

開発と生産

1930年代半ば、イギリスはクリスティー式戦車を基にした巡航戦車Mk.IIIを開発・採用しました。しかし、Mk.IIIの装甲は最大14mmと薄く、防御力に課題がありました。そこで、1939年初め、装甲厚を30mmに強化する改修が指示されました。

A13試作車を用いた試験の結果、主要部の装甲強化が速度性能に大きな影響を与えないことが判明。この増加装甲型がMk.IVとして採用されました。装甲強化は主に砲塔部に行われ、側面と後部には中空方式（スペースド・アーマー）の傾斜装甲が追加されました。これにより砲塔は大型化しましたが、基本形状はMk.IIIを踏襲しています。カタログスペック上の最高速度は変わっていませんが、重量増加による機動性の低下は避けられなかったと考えられます。

Mk.IVの開発・採用はMk.IIIの量産開始直後だったため、Mk.IIIの生産数は65両と少なくなりました。1939年にはMk.IVの生産が始まり、665両が製造されました。一部のMk.IIIはMk.IVに改修されたとされています。

搭載された同軸機銃は当初ビッカース.303でしたが、後にベサ機銃に換装された車両（Mk.IV A）も存在します。また、主砲を2ポンド砲から3.7インチ榴弾砲に変更した近接支援型（Mk.IV CS）も少数生産されました。さらに、Mk.IVとMk.IVAの両方で、砲塔防盾部に増加装甲カバーを追加した車両も見られます。

戦歴

Mk.IVは、他の巡航戦車と共にイギリス海外派遣軍第一機甲師団に配備され、1940年にフランスで最初の戦闘を経験しました。生き残った車両は北アフリカ戦線でも初期の主力として使用されました。その戦闘能力は、当時の状況を鑑みると、決して低いものではなかったと考えられます。初期の戦車であることを考慮すると、一定の役割を果たしたと言えるでしょう。

ゲームにおける登場

Mk.IVは、数々のゲーム作品に登場し、その姿を見ることができます。代表的な例として、以下のゲームが挙げられます。

『War Thunder』：イギリスの軽戦車として登場。1939年仕様も存在。
『World of Tanks』：イギリス軽戦車Cruiser Mk. IVとして登場。
『パンツァーフロント Ausf.B』：英戦車として登場。
『total tank simulator』：イギリスの改軽戦車MK.IVとして登場。

これらのゲームを通して、仮想空間でMk.IVを操作し、その性能を体感することができます。

参考文献

宗像和広(主著)、『第二次世界大戦のイギリス・アメリカ軍戦車』、戦車マガジン1992年7月号別冊、デルタ出版
大村晴、『第2次大戦のイギリス軍用車両』、グランドパワー1995年11月号、デルタ出版

関連項目

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