パンツァーフロント

パンツァーフロント シリーズ解説

『パンツァーフロント』（PANZER FRONT）は、戦車戦シミュレーションゲームシリーズです。エンターブレインから販売され、シャングリ・ラが開発を手掛けました。第二次世界大戦のヨーロッパ戦線を舞台に、プレイヤーは戦車を操り、各シナリオに設定された勝利条件のクリアを目指します。シリーズの略称は「パンフロ」として親しまれています。

シリーズ作品一覧

PANZER FRONT（1999年12月22日発売） - プレイステーション、ドリームキャスト用
PANZER FRONT bis.（2001年2月8日発売） - プレイステーション用
PANZER FRONT Ausf.B（2004年5月27日発売） - プレイステーション2用

ゲームの概要

本作は、第二次世界大戦の戦場を舞台に、各シナリオに設定された勝利条件を達成することを目指します。ストーリーやキャラクター設定は基本的に存在せず、プレイヤーは好きなシナリオを選んで自由にプレイできます。シナリオのクリア結果が他のシナリオに影響を与えることもありません。

ドイツ、アメリカ、ソ連の3軍を代表する多数のシナリオが用意されており、各シナリオのクリアごとにスコアが記録されます。基本となるのはシナリオモードですが、シナリオに登場する戦車を自由に変更できるフリーモードも搭載されています。フリーモードでは、敵味方の戦車を自由に設定したり、登場させないようにすることも可能です。ただし、シナリオの内容自体は変化せず、陣営や通信内容は元のシナリオモードのままとなります。フリーモードでクリアしてもスコアは記録されません。

プレイヤーは、自車両1両を1人で操作します。これは、現実の戦車長、操縦士、砲手の役割を1人でこなすことを意味します。砲弾の装填は自動で行われますが、弾種はプレイヤーが選択します。戦車長はCPUとして自車両に設定されており、自動で敵を発見して報告したり、攻撃や回避、弾種の変更などの指示を車内通信（ゲーム中は字幕で表示）としてプレイヤーに伝えます。

リアリティの追求

本作は、故障や砲弾の種類など、リアリティを重視した作品です。攻撃・被弾時のダメージは、砲の口径、弾種、装甲の厚さ、角度といった要素に基づいて決定されます。そのため、自車の砲が小口径であったり、敵が重装甲であったり、距離が遠いなどの条件が重なると、数十発撃ち込んでもダメージがほとんど入らないという状況も発生します。

装甲の耐久値は、一般的なHP制とは異なり、ダメージを蓄積させて撃破するのではなく、砲弾が装甲を貫通するか弾かれるかによって決まります。一度主砲弾を弾かれた場合、射撃条件（距離、角度、弾種など）を変えない限り、何発撃ち込んでも撃破できないことが多いです。

各戦車には状態異常ステータスが設定されており、被弾によってキャタピラ破損（移動不能）や主砲破壊といった状態異常を引き起こすことがあります。特に主砲破壊が発生すると、相手の戦車は戦闘能力を大きく損なうため、撃破に至らない射撃でも無意味ではありません。小隊を指揮できるシナリオでは、敵の注意を引きつけ、その間に味方を側面に回り込ませて撃破するといった戦術も有効です。

架空戦車の登場

無印版とbis.には、実在の戦車に加えて、著名なデザイナーが手掛けた架空戦車が登場します。

[米] 超重戦車『ショートブル』（宮武一貴）: 4本の無限軌道を持つのが特徴。105mm砲を装備し、走行速度、旋回速度は速いが、装甲は薄い。
[米] 駆逐戦車『T69E3』（石津泰志）: 76mm砲を装備したコンパクトな駆逐戦車。射角が広く、比較的照準しやすい。
[独] 重戦車『E-79』（永野護）: パンターやティーガーIIの発展型というコンセプトでデザインされた戦車。128mm砲を搭載し、傾斜装甲を持つ。
[独] 駆逐戦車『オリオール』（佐藤道明）: ヤークトパンターを思わせる低車高の高速駆逐戦車。ガスタービンエンジンを搭載。
[ソ] 重戦車『ИС-152』（横山宏）: KV-2のような巨大な旋回砲塔を持つ重戦車。超重量級で速度が遅い。
[ソ] 駆逐戦車『СУ-122』（山根公利）: T-34の車体に鋳造式の戦闘室を設置したというコンセプトの駆逐戦車。

PANZER FRONT bis.

bis.は、フランス語で「アンコール」を意味し、続編というよりもリニューアル版に近い内容です。ゲームシステムは前作から細かなバランス調整が施され、マップやユニットも同一のものが登場しますが、以下の要素が追加されています。

戦車の追加（三式中戦車、四式中戦車など14両）
マップの追加（日本の串良を含む8面）
コンストラクションモード（プレイヤーによるシナリオ作成）
ストーリーモード（キャラクターデザイン：出渕裕、CGムービー制作：サンライズ）
音声の追加

システム面では、砲弾が装填されているときに弾種を変更すると、一度抜き取ってから再装填するなどの細かい変更が加えられています。また、T-35などの多砲塔戦車や装甲列車が登場するほか、コンストラクションモードでプレイヤー車両に登録することで、野砲や輸送車を操ることも可能です。

一部の戦車には「秘孔」と呼ばれる弱点が存在し、そこに被弾すると無条件で破壊されてしまうことがあります。これは、戦車のポリゴン構成や装甲設定の不備によるもので、三式中戦車の車体正面上部やT-34-85の車体斜め後ろなどに存在します。

ステージ紹介

アメリカ軍、ソ連軍、ドイツ軍のシナリオが用意されています。bis.版では、新たなステージも追加されています。

アメリカ軍

ノルマンディー上陸作戦、バルジの戦い、ドイツ領内での戦闘を題材としたステージ構成。

ソ連軍

レニングラード戦を題材としたステージが多い。

ドイツ軍

第三次ハリコフ攻防戦、クルスクの戦い、ノルマンディー戦役、バルジの戦い、ドイツ領内での戦闘と、三軍の中で最もステージ数が多い。

[日本軍]

bis.版でのみ登場する架空ステージ「串良」では、三式中戦車や四式中戦車を操作して米軍戦車隊と戦います。当時の日本の町並みが忠実に再現されています。

PANZER FRONT Ausf.B

Ausf.Bは、アフリカ戦線を中心としたシナリオ展開で、ヨーロッパ戦線のシナリオはメルドープのみ収録されています。枢軸国側と連合国側の両方をプレイ可能です。

グラフィックは向上しましたが、登場車種の少なさや音声の削除、エディター機能の廃止など、ボリューム不足が指摘されています。着弾判定はリアルになり、装甲厚や車内構造が細かく設定されましたが、処理落ちが発生しやすいという問題点もあります。

海外版では、新戦車の追加やバグ修正が行われています。

もう一度検索