巣山古墳

巣山古墳について

巣山古墳（すやまこふん）は、奈良県北葛城郡広陵町三吉に存在する歴史的な古墳です。この古墳は、形状が前方後円墳であり、馬見古墳群の一部として位置付けられています。国の特別史跡にも指定されており、古代の歴史を物語る重要な遺跡となっています。

概要

巣山古墳は、馬見古墳群の中でもとりわけ大きく、中心的な存在感を持つ古墳です。この古墳は北向きに築かれていますが、中心軸は若干北東に傾いています。墳丘の周りには幅広い周濠があり、そこには水が湛えられています。この水濠の中に、まるで島のように古墳が横たわっている姿は、非常に印象的です。

墳丘は三段構成となっており、上にいくにしたがって急斜面となる形をしています。斜面には安山岩系の礫石や割石が使用されており、造りの美しさが感じられます。前方部と後円部のくびれ部分には、方形の構造物が付設されており、この部分も魅力的です。しかし、残念ながら後円部は盗掘の被害に遭っているため、当時の状態を知るのは難しくなっています。

1927年に周濠の内側が史跡として登録され、1952年には特別史跡に指定されました。さらに1989年には史跡範囲の追加指定も行われています。

構造

この古墳の全長は204メートル、後円部の直径は110メートル、高さは25メートルという大きさを誇っています。前方部の幅は94メートル、高さは21メートルで、後円部の頂上は直径45メートルの平坦な地形になっています。

周濠の形状は楯形をしており、後円部側で33メートル、前方部側で37メートル、くびれ部造り出し周辺で57メートルという幅を持っています。それに対して、周濠の外側の堤防は最大で27メートルの幅があり、特に東面と北東周辺が高く築堤されています。

埋葬施設

後円部の頂上部は過去に盗掘を受けており、多くの遺物が発見されています。信頼できる報告によると、後円部の主軸に沿って二基の竪穴式石室が掘られていたようですが、その詳細は謎に包まれています。また、前方部の先端には方形の壇状の施設が存在し、その内部には小型の割石を用いた竪穴式石室があったと推測されています。古墳の造り出し部分からは、祭祀に関連すると思われる滑石製の刀子や籠形土器が出土しており、重要な祭祀関連の施設であった可能性が高いとされています。

文化財

巣山古墳は国の特別史跡に指定されており、1927年には国の史跡に登録されました。1952年の特別史跡への指定を受けた後、1989年には史跡範囲の追加が行われています。文献としては、文化庁文化財保護部史跡研究会の監修による『図説 日本の史跡 第3巻 原始3』などがあり、古墳に関する知見を深める上で役に立ちます。

参考文献

• - 文化庁文化財保護部史跡研究会監修『図説 日本の史跡 第3巻 原始3』同朋舎出版 1991年 ISBN 4-8104-0926-0

巣山古墳はその独特な構造や出土品により、古代の日本文化や信仰についての貴重な情報を提供してくれる遺跡です。

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