工工四

工工四（くんくんしー）とは

工工四は、沖縄で使用される三線の記譜法の一つで、特に琉球古典音楽の表現に欠かせないものです。この記譜法は、いわゆるタブラチュア譜の一種であり、弦の押さえ方や弾く指の位置を示すために使われます。工工四は絶対的な音の高さを表すものではなく、演奏者が楽器をどのように扱うかに焦点を当てています。

工工四の起源

この記譜法の起源は、18世紀の琉球古典音楽の演奏家である屋嘉比朝寄（1786年生まれ - 1775年没）に遡ります。彼は当時の中国で普及していた工尺譜、また日本で使われていた唐伝日本十三弦箏譜や潮州の二四譜、明清楽譜といった記譜法をもとに、必要な要素を取り入れて工工四を考案しました。このようにして、屋嘉比朝寄は長年口伝で行われてきた琉球古典音楽を初めて楽譜として整理し、残すことに成功しました。彼の著作『屋嘉比工工四』には、117曲の工工四が収められています。

工工四の仕組み

工工四では、三線の各弦に対する指の押さえ方を汉字で示しています。例えば「合」、「乙」、「老」といった一文字が、それぞれの押さえる位置を示し、片仮名で歌詞が記されています。これにより、演奏者は視覚的に楽譜を理解し、一緒に歌ったり演奏したりすることが簡単になります。

三線の工工四は地域や流派によって若干の違いがあり、用語の呼び名も異なることがあります。例えば「シタロウ」と呼ばれる位置は「ゲロウ」と表現されることもあります。また、最近の音楽では、半音の位置を示すために♯や♭といった記号を使うことも一般的です。

工工四の重要性

工工四は、単に音楽を演奏するための方法にとどまらず、沖縄の文化や歴史を語る重要な役割も持っています。この記譜法があることによって、琉球古典音楽が世代を越えて伝えられ、保存されてきたのです。そのため、工工四は沖縄の音楽教育にも大きな影響を与えています。特に、沖縄三線の初心者がこの記譜法を学ぶことは、その後の技術向上や音楽理解に重要な第一歩となります。

参考文献

• - 始まりとして屋嘉比朝寄の著作や、沖縄の三線に関する資料があげられます。
• - 先述の『屋嘉比工工四』は、沖縄の音楽を学ぶ際の必読資料とも言えるでしょう。

本稿では、工工四の概要とその意義について解説しました。沖縄の三線音楽と工工四は切っても切れない関係にあり、この記譜法を通して琉球の文化をさらに深く理解できるきっかけとなることを願っています。

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