工業用水道

工業用水道とは

工業用水道は、事業所に対して人が直接触れない目的で供給される雑用水を指します。この水道は多くの場合、地方公営企業によって設置され、工場などの産業用に利用されています。

背景と目的

かつて多くの工場では地下水をくみ上げて雑用水として使用していました。しかし、これにより地下水位の低下が進行し、地盤沈下や洪水のリスクが高まっていきました。この問題を解決するために、利水者の負担で新たな水源の整備が進められました。実際、工業用水道は飲用目的ではなく、主に業務用水道として利用されるため、水道法の適用は受けません。

この工業用水道は、殺菌や特別な水処理が不要なため、トイレや洗浄用水に広く利用されています。例えば、東京都内の一部の集合住宅では、約3万世帯がこのシステムを利用しています。また、最近では精密機械産業向けに高純度の濾過処理を施した水が供給されるケースも増加しています。

日本における工業用水道の定義

日本では、「工業用水道事業法」において工業用水の定義が定められています。具体的には、工業用水とは製造業や電力、水道、水力発電を除いた事業に供給される水を指します。工業用水道は、導管を通じて業界に水を供給するための施設であり、管理者がその運用を行います。

誤接続の問題

工業用水道では、時に上水道と誤って接続される問題が報告されています。2002年7月に大阪府のユニバーサル・スタジオ・ジャパンで、冷水器が工業用水道に接続されていた例があります。また、東京都水道局では、2002年と2003年にそれぞれ9世帯と54世帯に工業用水を間違って供給してしまった事例も存在しています。

原水の種類

工業用水道で使用される水には、様々な種類があります。具体的には、以下のような原水を含みます：

• - 表流水
• - 伏流水
• - 湖沼水、貯水池水
• - 地下水
• - 下水処理水
• - 海水

世界および日本における使用量

国際的には、農業用水、工業用水、生活用水の使用比率はおおよそ7:2:1です。農業国や発展途上国では、特に農業用水の比率が高く、工業国や先進国においては、工業用水の比率が相対的に多くなります。

日本の2014年の統計によると、淡水としての工業用水の使用量は日量12,500万m3となっており、多様な業種において工業用水のリサイクルが進んでいます。この結果、工業用水の回収率は約80%に達しており、補給水量は日量2,640万m3にとどまっています。そのうち、工業用水道から供給された水の量は日量1,120万m3です。

まとめ

工業用水道は、工場などの事業所に重要な水供給システムであり、地下水の問題を克服するために設計されています。上水道との誤接続等の課題はありつつも、工業分野における水の効率的な利用を支える役割を果たしています。

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