左野勝司

左野勝司について

左野勝司（さの かつじ）は、1943年2月27日に和歌山県に生まれ、2024年7月29日に逝去した日本の石工であり、飛鳥建設の代表取締役を務めました。彼の生涯は石造文化財の修復を中心に展開し、その技術と情熱によって多くの歴史的価値のある作品を守ってきました。

経歴

中学校を卒業した後、左野は石工の道を選び、父親のもとで修業を始めました。伝承技術を身につけると同時に、国内外の石造文化財への訪問や修理プロジェクトに参加することで、自らの技術を磨いていきました。1965年に奈良県で佐野石材店を設立し、以降約50年にわたって石造文化財の修復や運搬に従事しました。

1978年、彼は自身の会社である飛鳥建設を設立しました。以来、石材工事の専門家として名声を高め、特に歴史的な建築物や遺跡の修復に心を砕いてきました。1988年には奈良県斑鳩町の藤ノ木古墳発掘現場での家形石棺のふたを持ち上げる難作業を成功させ、その確かな技術が評価されました。

国外の活動

左野は1992年からイースター島のモアイ像修復プロジェクトにも携わり、15体のモアイ像の修繕を行いました。この経験は、彼が国際的にも認められる石工としての道を切り開くきっかけとなりました。また、カンボジアのアンコール遺跡群においても寺院の修復に貢献し、国を越えた石造文化財の保護活動に尽力しました。

2006年からは奈良県明日香村の高松塚古墳において、壁画を石室ごと取り外して修理するという前例のない事業に参加。2007年には、その成果として壁画が描かれた石室を無事に取り出すことに成功しました。これにより、彼の名前は多くの専門家に知られることとなりました。

続く2023年6月には、イースター島からの依頼を受け、前年の山火事で被害を受けたモアイ像の調査を実施しました。彼の取り組みは、文化財の保護に対する持続的な情熱の表れでした。

受賞歴と著書

左野はその功績が評価され、2007年には吉川英治文化賞や文化庁長官表彰を受賞しました。また、2009年には著書『石ひとすじ』を刊行し、彼の哲学や石工としての経験を綴っています。

最後の日々

2024年2月頃から健康を損ね、自宅での療養生活を送っていましたが、同年7月29日、膵がんのため81歳で亡くなりました。彼の生涯は、石工としての誇りと日本の文化遺産を守るための尽力に満ちたものでした。左野勝司の遺産は、多くの人々によって受け継がれ、彼が手がけた作品は今もなお我々の目の前に存在しています。

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