巨人軍物語 進め!!栄光へ

巨人軍の歴史を彩る、若き選手たちの群像劇

『巨人軍物語 進め!!栄光へ』は、1977年3月19日に公開された東宝映画作品です。この映画は、当時の読売ジャイアンツ（巨人軍）を舞台に、3人の架空の若手選手を主人公とした、熱い青春ドラマです。新人選手たちの厳しい現実、チームの栄光、そして挫折からの再生を描いています。

映画の概要

本作は、『東宝チャンピオンまつり』の一環として公開されました。カラー、スタンダード形式で制作され、当時のプロ野球界の熱気をスクリーンに焼き付けています。

製作には、かつて巨人軍で打撃コーチを務め、前年までヤクルトスワローズの監督だった荒川博が携わっており、彼自身も出演しています。また、東映フライヤーズで活躍した寺島達夫も出演しており、野球ファンには見逃せない作品です。

監督を務めた沢島忠は、本作を最後に監督業から引退しました。この映画は、彼の監督としての最後の作品でもあります。

物語のあらすじ

物語は、希望に胸を膨らませて巨人軍に入団した3人の若手選手、清河、高杉、林を中心に展開します。しかし、プロの世界は甘くなく、清河は投手としての才能に限界を感じてしまいます。そんな清河に、大山コーチはかつて王貞治選手も投手だった過去を語り、彼を励まします。清河は再び闘志を燃やし始めます。

一方、高杉は交通事故で右腕を負傷し、絶望の淵に立たされます。そんな彼を励ますために、大山コーチは張本勲選手が幼少期に大火傷を負いながらも、後に「安打製造機」と呼ばれるほどの選手になったエピソードを伝えます。この話を聞いた高杉は、再び前向きな気持ちを取り戻します。

物語の終盤では、巨人軍は見事優勝を果たしますが、2軍の選手の中にはチームを去る者もいます。それを見た3人の若手選手は、新たな決意を胸に、今日も多摩川グラウンドで練習に励む姿が描かれます。

映画を彩るスタッフとキャスト

本作の監督は沢島忠が務め、脚本は沢島忠と岡本育子が担当しました。音楽は佐藤勝が手がけ、主題歌と挿入歌も担当しています。撮影は岡崎宏三、美術は酒井賢が担当しました。

出演者には、荒川博、千秋実、寺島達夫をはじめ、小杉浩、今藤正人、頭師佳孝、江原真二郎、下川辰平などが名を連ねます。また、王貞治選手の中学・高校時代を二戸義則が演じています。

音楽について

主題歌は「進め!!栄光へ」、挿入歌は「ルーキーソング」で、どちらも作詞：岡本育子、作編曲：佐藤勝、歌：陣野命が担当しました。これらの楽曲は、CD「野球小僧 懐かしの野球ソングコレクション」に収録されています。

同時上映作品とその他の情報

本作は、『東宝チャンピオンまつり』の中で、『キングコング対ゴジラ』、『円盤戦争バンキッド』、『ヤッターマン』、『まんが日本昔ばなし 桃太郎』などと同時に上映されました。また、同時期には『東映まんがまつり』でも、『ジャイアンツのこども野球教室』という短編作品が上映され、日活では『野球狂の詩』が上映されるなど、各社が野球映画を公開するという珍しい状況でした。

映画の意義

『巨人軍物語 進め!!栄光へ』は、単なる野球映画ではなく、夢を追いかける若者たちの情熱、挫折、そして再生を描いた感動的な作品です。当時の巨人軍の熱狂的な人気を背景に、プロ野球の世界の厳しさや、チームワークの大切さを伝えています。また、昭和のプロ野球を彩ったスター選手たちの姿を垣間見ることができる点も魅力の一つです。

参考資料

キネマ旬報
電撃ホビーマガジン編集部 編『ゴジラ 東宝チャンピオンまつり パーフェクション』KADOKAWA（アスキー・メディアワークス）

関連項目

ミスター・ジャイアンツ 勝利の旗
燃える男 長島茂雄 栄光の背番号3
ジャイアンツのこども野球教室
BIG-1物語 王貞治

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