巨加大橋

巨加大橋：韓国の島と本土を結ぶ海上道路

韓国南部の巨済島と釜山広域市の加徳島を結ぶ巨加大橋は、全長8.2kmに及ぶ自動車専用道路です。2010年12月13日に開通したこの大橋は、2本の壮大な斜張橋と韓国初となる沈埋式海底トンネルという、革新的な技術を駆使した構造物が特徴です。

複雑な地形と技術の融合

巨済島と加徳島の間には、猪島と中竹島という2つの小島が存在します。巨加大橋はこれらの島々を巧みに利用し、2本の斜張橋で島々を繋ぎ、中竹島と加徳島の間を海底トンネルで貫通させるという、複雑な構造となっています。

巨済島と猪島の間を結ぶ斜張橋は全長1.65km、3基の主塔を備えています。続く猪島と中竹島間には、全長1.87km、2基の主塔を持つ斜張橋が架けられています。そして、中竹島と人工的に造成された埋立地、さらに加徳島までを結ぶ全長3.2kmの海底トンネルが、この海上道路の重要な部分を担っています。この海底トンネルは、韓国で初めて採用された沈埋式トンネルであり、その建設技術は高く評価されています。

海底トンネルの建設には、橋梁に比べて高額な費用がかかりますが、巨加大橋は鎮海湾への入り口に位置し、韓国海軍の基地へのアクセスを考慮すると、国防上の理由から海底トンネルが選択されたとされています。トンネルの名称は「加徳海底トンネル」です。

巨済島の発展と交通の要衝

巨済島は済州島に次ぐ韓国第二の大きさを誇る島であり、三星重工業や大宇造船海洋といった巨大造船所を抱える、造船業の中心地として知られています。また、多くの漁港も存在し、漁業も盛んです。造船業の隆盛により、島の人口は20万人を超え、韓国でも有数の富裕地域となっています。

巨済島と韓国本土を結ぶ道路は、1971年の巨済大橋開通によって初めて実現しました。しかし、釜山中心部へのアクセスは、統営市を経由する必要があり、約140km、3時間もの時間を要していました。巨加大橋の建設は、この時間と距離の大幅な短縮を目的として行われました。

BTO方式による建設と経済効果

巨加大橋の建設は、BTO方式（建設・運営・移転方式）を採用し、GK海上道路株式会社（大宇建設が筆頭株主）が事業を施行しました。総工費は2兆3千億ウォンにも上り、2003年から2010年までの8年間を費やして完成しました。竣工後は政府に移転され、GK海上道路株式会社は2050年までの40年間、通行料を徴収する運営権を付与されています。

2010年12月13日の開通式には李明博大統領も出席しました。開通後、巨済島と釜山中心部の間の距離は約60km、所要時間は約50分に短縮され、交通の利便性が劇的に向上しました。

巨加大橋の開通は、巨済島の経済発展に大きく貢献すると同時に、釜山と巨済島間の新たな交通ネットワークを構築し、地域間の連携強化にも繋がっています。以前は、巨済島と釜山を結ぶ高速船航路が1日24往復運航されていましたが、巨加大橋開通に伴い廃止されることとなりました。

まとめ

巨加大橋は、高度な技術と大胆な構想によって実現した、韓国を代表する海上道路です。その建設は、巨済島の経済発展を促進し、地域間の結びつきを強化する上で大きな役割を果たしました。複雑な地形条件を克服した技術的な側面と、経済的・社会的な効果の両面から、巨加大橋は今後も韓国の重要なインフラとして機能し続けるでしょう。

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