巨大クモ軍団の襲撃

映画『巨大クモ軍団の襲撃』の詳細解説



1977年に公開されたアメリカのパニック映画『巨大クモ軍団の襲撃』（原題：Kingdom of the Spiders）は、アリゾナ州のヴェルデヴァレー村を舞台に、大量発生した毒グモが人々を襲う恐怖を描いた作品です。日本では劇場未公開ですが、そのスリリングな展開と、大量のクモが登場するインパクトのある映像で、カルト的な人気を誇っています。

ストーリー



物語は、ヴェルデヴァレー村で獣医を営むハンセンが、農家のコルビーから子牛が急死したとの連絡を受けるところから始まります。原因不明の死に不審を抱いたハンセンは、血液サンプルを大学の研究室に送り分析を依頼。その結果、サンプルからクモの毒が検出されます。数日後、クモの研究者であるアシュリーが現地を訪れ、調査を開始します。

当初、ハンセンは牛がクモの毒で死ぬはずがないと一笑に付しますが、今度はコルビー家の飼い犬が同様に死亡。血液検査の結果、通常の5倍もの毒性を持つクモ毒が検出されます。実はコルビー家の裏庭には、いつの間にか小高い丘ができており、そこで大量のクモが発生していたのです。激怒したコルビーは丘に火を放ちますが、時すでに遅く、クモの群れは村全体に広がりつつありました。

アシュリーは、害虫駆除のために使用された大量の農薬が原因でクモが突然変異し、毒性を高めたと推測します。さらに、天敵のネズミや、クモの餌となる虫がいなくなったため、家畜などの大型生物を襲うようになったと考えられます。彼女は市長に農薬の使用を中止するよう進言しますが、市長はクモも薬で駆除すればよいと全く聞き入れません。

やがて、クモの数は加速度的に増え、人々は次々と襲われ、村全体がパニックに陥ります。果たして、ハンセンとアシュリーはクモの脅威から村を守ることができるのでしょうか。

登場するクモについて



邦題から「体長数メートルの怪獣のような巨大なクモ」を想像するかもしれませんが、実際には、いわゆる「タランチュラ」と呼ばれるオオツチグモが大量に登場します。見た目の印象とは異なり、オオツチグモの毒性は実際には弱く、過去に死亡例もありません。そのため、撮影では出演者が平気でクモをつまみ上げたり、体に大量に這わせるシーンが見られます。また、村のパニックシーンでは、道路に大量のクモを置き、車や逃げ惑う人々がクモを踏み潰していくシーンもそのまま撮影されています。

キャスト





※日本語吹替版はDVDに収録されていますが、再放送時の短縮版の音源が使用されています。

スタッフ



  • - 監督：ジョン・カードス
  • - 製作：イゴー・カンター、ジェフリー・M・スネラー
  • - 脚本：リチャード・ロビンソン、アラン・ケイルー
  • - 原案：ジェフリー・M・スネラー、スティーブン・ロッジ
  • - 撮影：ジョン・アーサー・モリル
  • - 編集：イゴー・カンター、スティーヴン・ザイリアン

映画の魅力



『巨大クモ軍団の襲撃』は、1970年代のパニック映画の雰囲気を色濃く残した作品であり、そのチープな特撮や、大量のクモが襲い来るというシンプルな恐怖が、観る者に独特のインパクトを与えます。また、環境問題や科学技術の進歩に対する警鐘というテーマも含まれており、単なるパニック映画としてだけでなく、社会的なメッセージも感じられる作品です。カルト的な人気があるのも頷けます。

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