巨大核質DNAウイルス

巨大核質DNAウイルス (Nucleocytoplasmic large DNA viruses)

巨大核質DNAウイルス（NCLDV）は、ヌクレオサイトウイルス門に属する、際立って巨大なゲノムと粒子を持つ一群のウイルスです。2006年にエル・アラヴィントの研究グループによって提唱され、その特異な性質から、ウイルスの進化や生物の起源に関する議論を巻き起こしています。当初、その起源については様々な仮説が提唱されましたが、現在ではアデノ[[ウイルス]]などと共に、ポリントンと呼ばれるトランスポゾンから進化したと考えられています。

概要

NCLDVは、名前が示すように、非常に大きなゲノムサイズとカプシド直径を持つことが特徴です。中には、発見当初は真正細菌に分類されていたミミウイルスや、ウイルスに寄生するスプートニクヴィロファージが付着するママウイルスなど、従来のウイルス像を覆すような性質を持つものも存在します。

NCLDVの分類学的な位置づけは未だ確定していません。その巨大で複雑な遺伝子構成から、太古の時代に真核生物と共通の祖先から分岐したという説も存在します。もしそうであれば、生物と非生物の境界線は曖昧になり、NCLDVは真核生物、真正細菌、古細菌に次ぐ、新たな生物のドメインを代表する可能性さえあります。

しかし、2017年に発見されたKlosneuvirusの研究からは、異なる見解も生まれています。このウイルスは157万塩基対のゲノムを持ちますが、NCLDVが比較的新しい時代に細胞様の要素を獲得し、より小型のウイルスから進化した可能性が示唆されています。Klosneuvirusは多くのアミノアシルtRNA合成酵素を持ちますが、これらは単一の祖先から受け継いだものではなく、様々な生物から獲得したと考えられています。

分類

NCLDVには、以下の科が属しています。

アスファ[[ウイルス科]] (Asfarviridae)
アスコウイルス科 (Ascoviridae)
Dinodnavirus? (所属未確定)
イリド[[ウイルス科]] (Iridoviridae)
マルセイユウイルス科 (Marseilleviridae)
ミミウイルス科 (Mimiviridae) = メガウイルス科 (Megaviridae)
パンドラウイルス科 (Pandoraviridae)
フィコドナウイルス科 (Phycodnaviridae)
* ポックスウイルス科 (Poxviridae)

NCLDVは、その特異な性質から、ウイルスの定義や進化、そして生物の起源について、多くの議論を呼んでいます。今後の研究によって、これらのウイルスの起源と進化がより深く理解されることが期待されます。

もう一度検索