巨大津波

巨大津波とは

巨大津波とは、その名の通り、非常に大きな規模の津波を指します。一般的には、マグニチュード8を超える巨大地震に伴って発生する津波や、その他の要因によって引き起こされる規模の大きな津波に対して「巨大」という表現が用いられます。また、英語では「メガ津波（Megatsunami）」と呼ばれることもあります。

本稿では、この巨大津波の発生要因について詳しく解説します。

巨大津波の要因

津波は、地震、海底地すべり、火山噴火、沿岸での山崩れなど、様々な要因によって発生します。また、稀なケースとして、海洋への天体の衝突や隕石落下も津波を引き起こす可能性があります。

地震および海底地すべり

海底の地殻変動、特にプレートの沈み込みによって発生するプレート間地震（海溝型地震）は、巨大津波を引き起こすことがあります。プレート間地震は、時にマグニチュード8クラスの巨大地震を伴い、大きな津波が発生します。

また、プレート境界付近では、海洋プレート内部でも大規模な断層運動が発生し、海洋プレート内地震を引き起こします。特に、沈み込む前の海洋プレート内で発生する地震はアウターライズ地震と呼ばれ、プレート境界よりも沖合で地震が発生するため、地震動の割に巨大な津波となることがあります。1933年の昭和三陸地震は、このアウターライズ地震によるものとされています。

さらに、巨大地震による断層運動だけでなく、海底地すべりも津波の発生原因となります。津波の発生要因としては、海底地震性のものが9割と大半を占めますが、地すべり性のものは0.3割と少ないものの、発生した津波の規模が局所的に大きくなる特徴があります。

津波の発生源は、複合的な要因による場合もあります。例えば、1771年の八重山[[地震]]津波では、石垣島南東部で遡上高が約30mに達しましたが、この津波の原因として、石垣島南方沖プレート内地震と海底地すべり、石垣島東方沖プレート内地震、琉球海溝付近におけるプレート間地震の3つの津波源モデルが考えられています。また、2011年の東北地方太平洋沖地震による津波は、海溝型地震によるものと考えられていますが、震源の北側で発生した海底地すべりが、津波をさらに巨大化させたという説もあります。

火山噴火

火山噴火も、巨大津波の要因の一つです。1883年、インドネシアのクラカタウ火山が大噴火を起こした際、海底に大きな陥没カルデラが形成され、これにより最大35mの高さの津波が発生しました。

沿岸での山崩れ

沿岸での山崩れも、津波を引き起こす可能性があります。1792年、島原半島では雲仙岳の眉山が大規模な土砂崩れを起こし、有明海に大量の土砂が流入しました。これにより発生した津波は、対岸の肥後国（熊本県）沿岸を襲い、大きな被害をもたらしました。この時、入り組んだ湾内では、津波の高さが20mを超えたという記録があります。

また、1958年には、アメリカ合衆国アラスカ州のリツヤ湾で、地震により湾内を取り囲む斜面で大規模な土砂崩れが発生しました。この土砂崩れによって発生した津波は、対岸の斜面を500mを超える高さまで遡上し、世界で観測された津波痕跡の最高記録となっています（リツヤ湾大津波）。

天体・隕石の衝突（衝突津波）

地質時代には、天体や隕石の衝突によって発生した津波も存在します。約6600万年前には、メキシコのユカタン半島に隕石が落下したことでチチュルブ衝突が発生し、最大波高約300mの津波が発生したと推定されています。また、約215万年前のエルタニン衝突では、小天体が深海域に衝突したと考えられており、衝突クレーターは発見されていませんが、これにより発生した津波はチリ沿岸部に100mを超える高さで到達したとされています。

巨大津波の記録

過去には、様々な要因によって多くの巨大津波が発生し、甚大な被害をもたらしました。これらの記録は、巨大津波の脅威を理解し、今後の防災対策を考える上で非常に重要です。

まとめ

巨大津波は、地震だけでなく、海底地すべり、火山噴火、沿岸での山崩れ、天体衝突など、様々な要因によって発生する可能性があります。これらの発生メカニズムを理解し、過去の事例から学ぶことで、巨大津波に対する防災意識を高め、被害を最小限に抑えるための対策を講じることが重要です。

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