己龍

己龍：和製ホラーと痛絶ノスタルジックの融合

己龍は、日本のヴィジュアル系ロックシーンにおいて独自の地位を築いたバンドです。和製ホラーを基調とした楽曲と、痛絶ノスタルジックな世界観を視覚的に表現することで、多くのファンを魅了してきました。2007年9月17日の結成以来、精力的な活動を展開し、2023年12月18日の16周年記念公演をもって、無期限活動休止を発表しました。

己龍の歩み：インディーズシーンからの躍進と武道館公演

2007年12月16日、HOLIDAY SHINJUKUでのライブをもって本格的な活動をスタート。当初は自主レーベルで活動していましたが、2009年よりビーフォレストと契約し、B.P.RECORDSから作品をリリースするようになりました。2009年の『月ノ姫』から2011年の『叫声』までの5枚のシングルは、オリコンインディーズチャートで1位を獲得する快挙を達成。

その後、己龍は47都道府県を回る単独公演を4度も敢行し、「朱花艶閃」「愛怨忌焔」「龍跳狐臥」「傀露蒿儡」と題されたツアーは、彼等の圧倒的なパフォーマンスと人気を証明するものです。2015年には日本武道館公演を成功させ、2016年には二度目の武道館公演、そして「VISUAL JAPAN SUMMIT 2016」への出演と、メジャーシーンへの進出も果たしました。

2020年は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で単独巡業「殊塗同帰」を中断せざるを得ない状況となりましたが、YouTubeによる無観客生配信公演を実施。その後も、過去の衣装を着用したコンセプトライブやYouTubeチャンネルでの企画を生配信するなど、積極的に活動方法を模索しました。2021年には3度目の日本武道館公演を行い、7枚目のフルアルバム『曼珠沙華』をリリースしました。

そして2023年7月、16周年記念公演『拾陸周年』をもって無期限活動休止を発表。ラストライブには活動休止していたメンバーも加わり、YouTubeでデビュー曲「アナザーサイド」のミュージックビデオを公開するなど、その活動に幕を閉じました。

メンバー紹介：個性豊かな才能の集結

己龍の音楽性とパフォーマンスを支えるメンバーは、それぞれ独自の個性と才能を持っています。

黒崎眞弥(Vo): 作詞を担当し、生々しい表現力と圧倒的な歌唱力で楽曲の世界観を表現。網膜色素変性症を患っていることを公表し、その闘病の様子も知られています。
酒井参輝(Gt): 「痛絶ノスタルジック代弁第壱人者」を自称し、ポップな楽曲の作詞作曲も手がける。2次元への愛を公言するなど、独特のキャラクターも魅力です。数々のギターを所有し、そのこだわりも話題です。
九条武政(Gt): リーダーとしてバンドを牽引し、楽曲の作曲を担当。独特なファッションセンスも注目され、「ガチャ政」の愛称で親しまれています。2021年には一旦活動を休止しましたが、作曲等では引き続きバンドに関わっています。所有するギターにもこだわりが見られます。
一色日和(Ba): かつては女形として活動していましたが、現在は中性的なスタイルで活動。L'Arc〜en〜Cielのtetsuyaの影響を受け、高い演奏技術を誇ります。トークでの天然な一面も魅力です。多彩なベースを所有しています。
* 遠海准司(Dr): ドラム演奏に加え、作詞作曲にも挑戦。ANGRAとSIAM SHADE|SIAM_SHADEからの影響を公言しています。

音楽性とビジュアル：和製ホラーと痛絶ノスタルジックの世界観

己龍の音楽性は「和製ホラー」をコンセプトとしており、黒崎のボーカル、琴や和笛、読経などを用いたサウンドが特徴です。視覚的なコンセプトは「痛絶ノスタルジック」で、初期はエナメル系の衣装が多かったものの、B.P.RECORDS所属後はメンバーカラーを用いた着物アレンジが中心となっています。楽曲やコンセプトに合わせて衣装を変化させるのも、己龍の大きな特徴です。

ディスコグラフィーとその他

己龍は数多くのシングル、ミニアルバム、アルバム、DVDをリリースしており、それぞれが独特の世界観を表現しています。また、無料配布された音源や、クラウドファンディング支援者へのプレゼントなど、ファンとの交流を重視した活動も展開してきました。

まとめ：伝説を刻んだヴィジュアル系バンド

己龍は、その独特の音楽性とビジュアル、そしてメンバーの個性によって、ヴィジュアル系シーンに大きな影響を与えました。16年間の活動は、多くのファンにとってかけがえのないものとなるでしょう。無期限活動休止という決断は、彼らが新たなステージへと向かうための通過点なのかもしれません。

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