巴川橋 (荒川)

巴川橋の詳細

巴川橋（ともえがわばし）は、埼玉県秩父市の久那と影森の間に位置し、荒川に架かっている橋です。この橋は、埼玉県道209号小鹿野影森停車場線の重要な部分を成しています。周囲の地形と独特な風景をアピールするこの橋は、地元では「巴川」とも呼ばれる荒川の特性を象徴しています。

橋の特徴

巴川橋は、長さ172.5メートル、幅8.9メートルという堂々たるサイズを誇ります。有効な車道幅は6.5メートルで、歩道は1.5メートルです。この橋はニールセンローゼ橋形式の下路式鋼アーチ橋であり、支間長は171.0メートルです。全体の構造設計は、特に強度と耐久性を考慮されており、歴史的にも重要な緊急輸送道路として指定されています。

アーチリブの高さは28メートルで、橋の水面からの高さは約60メートルです。また、歩道は下流側のみに設置されていて、全体に横断勾配がついています。重量は873トンに及び、基礎は直接基礎方式で建設されました。実際にこの橋は1971年に着工し、1974年に竣工、1975年に開通しました。

歴史的背景

巴川橋が開通する前は、地域の人々は渡船を利用して荒川を渡っていました。1932年には旧巴川橋として知られる鋼製吊り橋がこの地域に設置されましたが、老朽化が進み、1959年には台風による破損も経験しました。この事態を受けて、地域住民は新しい橋の建設を求め、作業が始まりました。

新たに建設された巴川橋は、もともとあった橋のすぐ上流側に設けられました。設計段階では地域の景観への配慮も行われ、工事費用は4億5400万円に上りました。埼玉県内初のニールセンローゼ橋ということで、地域の必需品となるその役割は特に重要です。

周辺の魅力

巴川橋周辺には、豊かな自然環境や歴史的な観光地があります。アユの釣り場として有名で、獲れたアユは「秩父鮎」として広く知られています。このエリアは「巴川の蛇行」とも呼ばれ、その名の通り複雑な曲がり具合による美しい景観が広がっています。

また、秩父夜祭などのイベント時には交通規制が行われるため、巴川橋は便利な迂回路として利用されます。この橋はまた、サイクリングのルートとしても指定されており、「秩父4ダムを回るルート」など、様々な観光地へのアクセスが可能です。

旧巴川橋の記憶

旧巴川橋は、地元の人々にとって、また観光名所としても特別な意味を持つ構造物でしたが、現在はその痕跡は残っていません。新しい巴川橋が開通し、地域の発展に寄与する一方で、過去の橋の思い出は心の中に大切にされています。

自殺防止の取り組み

秩父市では、橋からの投身自殺が多く発生していたため、対策として自殺予防の看板設置を行っています。この取り組みは地域の人々の安全を確保するために行われており、巴川橋もその対象となっています。地域の安全対策への努力は絶えず続けられています。

巴川橋は、ただの交通インフラを越え、地域の象徴であり、訪れる人々にとって美しさと歴史を感じさせる存在であり続けています。

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