巴里のイザベル

『巴里のイザベル』

『巴里のイザベル』は、1979年4月19日から7月12日まで東京12チャンネルで放送されたテレビアニメ作品で、全13話、各話30分の形式で制作されました。この作品は「キリン名曲ロマン劇場」の第二作目として位置づけられ、『野ばらのジュリー』に続く形で視聴者に提供されました。

物語は1870年のフランス・パリを舞台に、名門ロスタン家の令嬢イザベルの成長を描いています。イザベルは15歳という若さで、待ち望んだ社交界デビューを果たしますが、その直後、普仏戦争におけるフランス軍の敗北という衝撃的なニュースが届きます。これによってフランス第二帝政が崩壊し、パリは混沌と化します。新たに樹立された臨時政府の首班となったティエールは、戦勝国であるプロイセン王国との間で休戦協定を結ぶ決断を下し、多くの市民がこの行為に対して義憤を抱くようになります。このような背景の中、パリ・コミューンの結成が決定的な出来事となります。

イザベルもまた、この困難な状況に対処するために男装をしてコミューンに参加し、プロイセン軍やティエール政権と対峙します。彼女は自らの勇気と信念をもって、自由を求める戦いに身を投じるのです。

登場人物

物語には魅力的な登場人物が揃っています。主人公イザベル・ロスタンは美しい容姿と男勝りな性格を持つ少女で、彼女の冒険と成長はこの作品の中核をなします。彼女の姉ジュネビエーブ・ロスタンは、家族の期待を背負いつつも愛に悩むキャラクターであり、婚約者のある身でジュールに恋をするという複雑な立場に置かれています。彼女に心を寄せる幼なじみのジャンは貴族の御曹司で、イザベルに片思いするもその想いが報われない切なさを抱えています。

また、父親のレオン・ロスタンや、彼女たちの母マリー・ロスタン、さらには臨時政府の首班である悪役ティエールといった複雑な人物たちが物語を彩ります。特にティエールは、自身の権益を維持しようとする冷酷な政治家として描かれ、彼との対立が物語の緊張感を高めています。

制作スタッフ

この作品は、企画を丹野雄二が担当し、プロデューサーとしては江津兵太や丹野雄二が名を連ねています。監督は葉方丹、脚本は首藤剛志が担当し、キャラクターデザインは福田皖が手掛けました。音楽は松下功によって作曲され、オープニングテーマにはフレデリック・ショパンの「幻想即興曲 ハ短調」が使用されています。このような豪華なスタッフ陣によって、作品は高い完成度を誇ります。

本作は、時代背景を巧みに活かした深いドラマが展開され、視聴者に感動と思索をもたらします。パリを舞台にした戦乱の物語を通じて、人間の強さや絆、愛と自由への渇望が描かれており、今なお心に残る作品です。

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