巻藁 (弓道)

巻藁とは

巻藁（まきわら）は、弓道や弓術において、型の稽古用の的として用いられる特別な練習道具です。この道具は、藁を束ねて作られており、矢が貫通しない強度でしっかりと保つ必要があります。一般的には、巻藁は専用の台の上に置かれ、その中心が射手の肩の高さに設定されるため、射撃時に適切な目標となります。

外見と構造

見かけは米俵に似ていますが、もちろん中には何も入っておらず、必要な量の藁を束ねて藁縄で巻き締めたものです。その巻き締めは非常に強く行われ、一度ほどけてしまうと、元の状態に戻すことは人力では困難です。巻藁のサイズは直径が30cmから50cm、奥行きが約80cm程度と大きめで、安全性を確保するために、後ろには畳を立てておくことが望ましいとされています。

稽古方法

巻藁を使った訓練では、「巻藁矢」や「藁矢」などと呼ばれる特別な矢が使われます。これらの矢は、通常、羽根が付いておらず、棒矢とも称されます。ただし、的前で使用するものには、羽根が付いている小型のものも存在します。初心者はまず射法八節と呼ばれる型から習得し、ゴム弓を用いた練習や、実際に弓を引いて矢を射る訓練を経て、最終的に巻藁の前で矢を放つ練習へと進みます。

練習の流れ

一般的な初心者の指導過程では、巻藁の前に立ち、約2メートル離れた位置から矢を射る感覚をつかむことから始まります。この巻藁での訓練を通じて、射手は矢を放つ適切な感覚を得ることができ、習熟した後、28メートル先の的前に進むことが可能となります。「巻藁三年」という言葉が示す通り、この基礎的な練習は的前に立つ準備段階として非常に重要とされています。

複数の目的

初心者に限らず、経験者も体の慣らしや型の確認のために巻藁での練習を行います。また、竹弓の場合には、弓を慣らす目的でも巻藁を用いることがあります。さらに、「巻藁射礼」といった形式化された礼法や演武も存在し、これらは単なる練習用の道具に限りません。巻藁は、弓道の伝統に根ざした技術を学び、体得するための重要な役割を果たしているのです。今や巻藁は、初心者から上級者まで、幅広いレベルの弓道家が稽古の一環として利用する不可欠な道具となっています。

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