市尾墓山古墳

市尾墓山古墳について

市尾墓山古墳（いちおはかやまこふん）は、奈良県高市郡の高取町市尾に位置する前方後円墳です。この古墳は、古墳時代の後期、特に6世紀の初頭に築造され、地域の首長の墓として重要な役割を果たしていました。また、市尾宮塚古墳とともに、1981年に国の史跡として指定されています。

概要

市尾墓山古墳は、奈良盆地の南端にあり、越智丘陵と竜門山塊の間に広がる盆地に築かれています。この古墳の特徴は、その形状にあり、前方部を北西に向けた前方後円墳となっています。墳丘は二段の構造を持ち、土を圧縮して積み上げられています。また、墳丘の外周には考古学的価値の高い葺石が施されており、さらに石室の付近では埴輪が列を成しています。

この古墳の周囲には幅約12メートル、高さ2-3メートルの外堤と、その外側を取り囲む周濠が設けられています。古墳全体の長さは約100メートルに達し、非常に大規模なものです。埋葬施設としては後円部に位置する片袖式の横穴式石室があり、南西側に開口しています。石室の内部には巨大な家形石棺が安置されており、そのサイズや形状から古式であると共に最大級のものであると評価されています。

埋葬と出土品

石室内の調査によって、多くの副葬品が発見されました。具体的には、装身具や武器、馬具、須恵器、土師器などが確認されています。特に水晶や銀、ガラスで作られた美しい玉類が多く、これらは当時の文化や技術を知る上で非常に貴重な資料となっています。

加えて、埋葬品の中には、古代の武器や馬具も含まれており、これによって被葬者の社会的地位や役割が推測されています。特に第六世紀に築かれたこの古墳は、巨勢氏との関連性が指摘されており、被葬者は巨勢男人との見解もあります。

研究と発掘

市尾墓山古墳に関する発掘調査は1975年から開始され、以降何度かにわたり詳細な調査が行われています。1981年には国の史跡に指定され、その後も整備事業が進められ、多くの研究者がこの遺跡を訪れています。しかしながら、石室内への立ち入りは制限されているため、外からの観察を通じてその価値を理解することが求められています。

遠い過去に築かれたこの古墳の存在は、奈良県の古代史を知る上で欠かせないものであり、観光資源としても重要な役割を果たしています。現在、市尾墓山古墳の出土品は奈良県立橿原考古学研究所附属博物館で保管・展示されており、多くの訪問者がその歴史に触れることができます。

まとめ

このように、市尾墓山古墳は奈良県における重要な考古学的遺跡であり、その形状、埋葬品、研究の進展は日本の古代史研究に多大な影響を与えています。近年の調査によって、その詳細な情報が少しずつ明らかになってきており、今後の研究の進展が期待されています。

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