市川團十郎 (7代目)

七代目市川團十郎の生涯と業績



七代目市川團十郎1791年 - 1859年)は、江戸歌舞伎界において化政期から天保時代にかけて特に活躍した役者です。屋号は成田屋で、その定紋は三升(みます)です。また、俳名には三升や白猿、夜雨庵など多くの名称があります。

来歴



彼の幼名は小玉で、名跡は初代市川新之助から始まり、市川ゑび蔵、七代目市川團十郎、さらに五代目市川海老蔵と続きました。江戸追放された後は、成田屋七左衛門、幡谷重蔵、市川白猿と名乗り、様々な名を使い分けました。寛政3年(1791年)、江戸に生まれた團十郎は、母が五代目市川團十郎の次女であったため、若くして江戸歌舞伎に親しむ環境にありました。寛政6年(1794年)には市川新之助の名で初舞台を踏み、その後わずか2年後には6歳で『暫』を演じる若さでした。

寛政11年(1799年)に六代目團十郎が急死したため、10歳の時に七代目市川團十郎を襲名します。文化3年(1806年)には、祖父も亡くなり、一時的に劇壇の孤児となった彼は、化政期の名優たちから指導を受けながら徐々に実力を磨いていきました。特に、五代目の贔屓筋たちが後援者として彼を支えており、初めて演じた市川家の「助六」では、記念本が刊行されるほどの人気を獲得しました。

彼は豪快さの中に男らしい色気を持つ芸風で知られ、市川宗家のお家芸である荒事を得意としました。四代目鶴屋南北と共演して悪役を演じ、その存在感を高めていきました。

音楽の伝承と定番演目



天保3年(1832年)には、息子である六代目市川海老蔵に八代目團十郎を継承させ、自身は五代目市川海老蔵を襲名します。この際、成田屋相伝の荒事18種を選定し、「歌舞妓狂言組十八番」として配布しました。これが後に歌舞伎の十八番となり、江戸歌舞伎の人気演目を独占することになります。

天保5年(1834年)には福岡藩の招きにより、初めて九州・博多で興行を行い、この時のエピソードは博多商人によって記録に残されています。天保11年(1840年)には『勧進帳』を初演し、これによって市川宗家の権威が一層高まったのです。

江戸追放とその後の活動



しかし、天保13年(1842年)、天保の改革の影響で江戸追放され、成田屋七左衛門と改名することとなります。彼は一時期成田山新勝寺に蟄居し、その後駿府を経て大坂へ向かうことになります。追放の原因としては、派手な私生活や実物の甲冑を使用したことがありました。結果として江戸歌舞伎の宗家としての「團十郎」を罰する意図があったと言われています。

嘉永2年(1849年)に赦免されると、江戸に戻りますが、以後は旅芝居に多く出演し、幡谷重蔵や二代目市川白猿の名義でも活動しました。また、復帰後には新しい狂言作家である二代目河竹新七(黙阿弥)の才能を見出しました。

晩年とその影響



嘉永7年(1854年)には、長男の八代目團十郎が自殺するという悲劇に見舞われ、家庭的に恵まれない晩年を送ります。安政5年(1858年)に久しぶりに江戸に戻り、翌年には最後の舞台を踏むこととなりました。1859年3月23日(安政6年)に亡くなり、青山霊園に墓所が置かれています。

團十郎は多くの子供を残し、その中には息子たちもいますが、後の市川團十郎家は別系統となりました。彼の影響は今なお語り継がれ、江戸歌舞伎の発展に多大な貢献を果たしたいわゆる「色悪」の先駆者として記憶されています。

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