市川團十郎 (9代目)

九代目市川團十郎について

九代目市川團十郎（1838年11月29日 - 1903年9月13日）は、日本の明治時代における著名な歌舞伎役者で、彼の屋号は成田屋です。彼は数多くの芸名や俳号を持ち、特に「劇聖」と称されています。今回、彼の生涯や業績などについて詳しく掘り下げていきます。

修業時代

九代目は七代目市川團十郎の五男として生まれ、愛人の子として生存の危機にあったものの、六代目河原崎権之助の養子となり、三代目河原崎長十郎を襲名しました。幼少期から厳しい稽古に励み、舞台に立つ役者としての基礎が築かれます。初舞台を踏んだのは8歳の時で、以降数多くの舞台経験を重ねます。

雌伏の時代

嘉永5年（1852年）、名を初代河原崎権十郎と改めるも、兄の自殺をきっかけにプレッシャーが増します。このでしたが、養父の厳しい指導のもと、舞台経験を積んでも評価は低かった時期もあり、特に「大根」と呼ばれる酷評に苦しみました。彼の舞台人生は並大抵のものでなく、多くの試練がありました。

飛躍の時代

明治が明けると、九代目團十郎は次第に名を轟かせ、特に『西南雲晴朝東風』での西郷隆盛役が成功を収めると、それ以降も続けて多くの作品に出演し、その名声を高めました。また、演劇改良運動に積極的に参加し、時代考証に基づいた新しいスタイルの歌舞伎を模索しました。例えば、1887年には初の天覧歌舞伎を行い、明治天皇の前で演技を披露しています。

晩年と芸風

九代目の演技は内面表現を重視し、多様な役柄をこなすことで知られ、特に『勧進帳』の弁慶など、大きな役にて観客を魅了しました。晩年には体力の衰えが見え始めるものの、彼の芸は健在で、様々な舞台でその圧倒的な演技を見せ続けました。

家族と後継者

市川團十郎は2人の娘を儲ける一方で、後継者問題にも悩みました。妻の父からの婿養子を受け入れ、五代目市川新蔵を早期に養子にしましたが、その新蔵が早逝するという悲劇に見舞われます。また、晩年には娘の結婚を強く推奨する姿勢も見せ、ないない世代に受け継がれる基盤を整えました。

死後の影響

九代目團十郎は1979年（昭和37年）に名声が復活し、十一代目市川海老蔵を名乗る後継者が登場しました。彼の影響は現在もなお感じられ、歌舞伎界において深い足跡を残しています。

結論

九代目市川團十郎の生涯は、厳しい試練や挫折を経て、歌舞伎界に大きな影響を与えた人物です。彼のスタイルや演技は、多くの後輩たちにも脈々と受け継がれ、その存在は歌舞伎の歴史において欠かせない位置を占めています。

もう一度検索