市川雅敏

市川雅敏：日本人初のジロ・デ・イタリア出場者、その輝かしい軌跡と現在

市川雅敏（いちかわ まさとし、1961年1月11日 - ）は、東京都出身の元自転車ロードレース選手であり、現在は葛飾区でバイクショップ『Vitesse(ヴィテス)』を経営しています。アマチュア時代からヨーロッパを舞台に活躍し、日本人として初めてジロ・デ・イタリアに出場するなど、その功績は日本自転車競技界に大きな足跡を残しました。

ヨーロッパへの挑戦

高校時代に自転車の魅力に取り憑かれた市川は、日本大学在学中に自転車競技部で才能を開花させます。国際ロードでの優勝を機に、大学卒業後は単身ヨーロッパへ。当時、日本人レーサーが海外に挑戦するケースは稀であり、鉄沢孝一と共に先駆者として道を切り開きました。

1984年、アマンダスポーツのサポートを受け、チームミチホで森幸春、三浦恭資と再びヨーロッパへ。翌年にはスギノテクノに所属し、チャレンジロードで優勝するなど国内でも実績を重ねました。その後、マヴィック・ジタンからの誘いを受け、再びヨーロッパへ。

1986年には、ツール・ド・マルティニック第2ステージ優勝、Sion-Vercorinヒルクライムレース優勝など、数々のレースで輝かしい成績を収めます。VIZCAINA(スペインのステージレース)では第2ステージまで総合1位をキープするなど、その実力はヨーロッパでも高く評価されました。

プロとしての飛躍

1987年、市川はヒルクライム能力を買われフランスのKASから誘いを受けますが、監督の事故死により契約は白紙に。しかし、ベルギーの強豪チーム、ヒタチ・マーク・ロッシン（ベルギー日立がスポンサード）と契約。クロード・クリケリオンという当時のベルギー最強選手がキャプテンを務めるチームで、アシストとして活動し、1989年にはプロ初勝利を含む2勝をマークしました。

ジロ・デ・イタリアへの挑戦

1990年、市川は日本人として初めてジロ・デ・イタリアに出場。第2エースとしてアシストを務めつつ、エース選手のリタイア後は臨時エースとして山岳ステージで先頭集団に食い込むなど、印象的な走りを見せました。総合50位で完走という結果は、ヨーロッパの強豪が集うジロ・デ・イタリアにおいて、日本人選手の存在感を示すものでした。

現役引退後

1994年にヨーロッパでの活動にピリオドを打つまでに、市川はヨーロッパで通算6勝を挙げています。これは日本人の歴代最高勝利数です。

現在は選手生活から退き、葛飾区でバイクショップ『Vitesse(ヴィテス)』を経営。ショップのチームや実業団を指導する傍ら、愛三工業レーシングチームのアドバイザーや、日本自転車女子チームReady Go JAPANのチームアドバイザーも務めるなど、後進の育成に力を注いでいます。

また、障害者自転車競技にも積極的に関与し、スタッフの指導や視覚障害競技者の伴走者としても活動しています。

解説者としての顔

市川は、かつてNHKやJ SPORTSの自転車ロードレース中継で解説者を務めていました。その解説は、自身の経験に基づいた辛口な批評が特徴的であり、特に日本のジュニア育成システムや選手に対する評価は、時に議論を呼ぶこともありました。しかし、その率直な物言いは多くのファンを魅了し、独自の視点を提供していました。

海外における勝利

市川はアマチュア・プロ通算で数多くの海外レースで勝利を飾っています。

1986年 (アマチュア時代): Sion-Vercorin (スイス)
1989年: Sierre-Loye (スイス), Ruggell (リヒテンシュタイン)
1992年: Sierre-Loye (スイス), Martigny Mauvoisin (スイス), Monthey-Champoussin (スイス)
1993年: Horw-Schwendelberg (スイス)

市川雅敏は、その輝かしい功績と、常に挑戦し続ける姿勢で、日本の自転車競技界に多大な影響を与え続けています。

Vitesse-市川の経営するショップのウェブサイト
市川雅敏 - サイクリングアーカイヴス（英語）

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