市政局

市政局（Urban Council）

市政局は、1999年末まで存在した香港の地方議会です。英語では「Urban Council」と表記され、略称は「UrbCo」です。また、「市政評議会」とも呼ばれることもあります。香港がイギリスの割譲地であった時代には、香港島と九龍地区を代表する議会として機能していました。

歴史

市政局の前身は、1883年に設立された衛生局（Sanitary Board）です。当初は衛生管理を主な目的としていましたが、1935年に市政局へと改称され、より広範な都市行政を担うようになりました。主な管轄分野は衛生や食品安全であり、その執行部門は市政総署が担っていました。

議員構成

当初、市政局議員は任命議員や当然（兼職）議員が中心でした。市政局の主席（議長）も市政總署の署長が兼任していました。しかし、1950年代以降、徐々に民選議員が増加しました。ただし、1970年代までは、選挙権を持つ者は香港住民の一部に限られた制限選挙であり、代表制には乏しい議会でした。

新界地区には、市政局に相当する議会組織として、原住民による郷議局が存在していました。

民主化の進展

1980年代以降、香港では民主化が本格化し、香港全域が18の区に分割され、各区に区議会が設置されました。また、21歳以上の香港住民に選挙権が付与されるようになりました。これを受け、1983年より市政局議員の半数が民選議員となり、その部分は普通選挙が実施されるようになりました。

1986年には、新界地区にも市政局に相当する議会組織として、新たに区域市政局が設置されました。ただし、郷議局は現在も存続しています。

完全民選議会へ

1995年には、当時のパッテン総督による改革により、市政局は直接選挙で選出された32名と、区議会議員を選挙人とする間接選挙で選出された9名のみで構成される、完全な民選議会となりました。しかし、香港返還後、董建華行政長官によって任命議員が復活し、民主化は後退しました。

廃止

1999年末には、インフルエンザの流行などへの対応を理由として、市政局は区域市政局と共に廃止されてしまいました。

関連事項

区域市政局
区議会 (香港)
香港立法局
香港立法会

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