市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書

市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書（第1選択議定書）

市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書（OP1）は、1966年12月16日に国連総会で採択された、多国間の国際条約です。この選択議定書は、個人が自国の人権が侵害されたと感じた場合に、規約人権委員会に通報することができる制度を規定しています。この制度は、自由権規約と呼ばれる市民的及び政治的権利に関する国際的な約束を実効性のあるものとするために重要です。

選択議定書は、1966年12月19日にニューヨークで署名のために開放され、1976年3月23日に正式に効力を持ち始めました。これは、国際人権規約の重要な一部であり、1989年12月に採択された第2選択議定書である死刑廃止議定書と区別されます。後者との関連性も考慮し、前者は第1選択議定書と呼ばれています。

歴史的背景

選択議定書が採択される以前、1948年には世界人権宣言が採択され、その後1954年まで国連人権委員会によって自由権規約や社会権規約が起草されました。1966年12月に両規約と選択議定書が採択される際、賛成66票、反対2票、棄権38票という結果でした。この選択議定書の発効は、自由権規約が有効となり、さらに10か国が批准することが求められました。

また、2020年5月現在で、本議定書を署名した国は35か国、締約国は116か国に達しています。

個人通報制度

本選択議定書の中核を成すのが個人通報制度です。これは、自由権規約の権利が侵害された個人が、国内での救済を尽くした上で、規約人権委員会に通報できる制度です。通報が受理されると、法律施行機関職員によって人権が保護されるための行動規範が適用され、その後、問題に対する説明が求められます。これにより、国家の立場や意見を検討した上で、委員会が見解を示します。

締約国になるための手続き

選択議定書の締約国になるためには、まず署名し、その後批准するか、加入の手続きを取る必要があります。批准や加入の際には、所定の書類を国連事務総長に寄託します。締約国はいつでも廃棄通告が可能ですが、これにより国際的な責任が変わります。

2020年5月の情報では、署名しているがまだ批准していない国も存在します。例として、カンボジアやリベリア、ナウルなどが挙げられます。三カ国以外の31カ国は、すでに批准を済ませています。興味深い事実として、ジャマイカとトリニダード・トバゴは、かつて選択議定書を批准したものの、その後廃棄通告を行いました。

日本に関しては、現在この選択議定書の締約国ではありませんが、各種団体が政府に対して批准を求めています。政府は、この制度が我が国の司法制度との関連性から見た問題を認識しながら、検討を進める立場です。

このように、市民的及び政治的権利に関する国際規約の選択議定書は、個人の権利保護に向けた重要なフレームワークを提供しています。これにより、国際的な人権の確保という課題に貢献することが期待されています。

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