布良崎神社

布良崎神社

布良崎神社（めらさきじんじゃ）は、千葉県館山市布良に位置する神社です。旧社格は郷社であり、地元の人々からは深く信仰されています。この神社は、古くからの歴史を持ち、幾度もの災害に見舞われながらも再建されてきました。

祭神

布良崎神社では、以下の三柱の神様が祀られています。

天富命（あめのとみのみこと）
須佐之男尊（すさのおのみこと）
金山彦命（かなやまひこのみこと）

歴史

創建

神社の創建は、神武天皇の時代にまで遡ると伝えられています。勅命を受けた天富命が、天日鷲命の孫である由布津主命を伴い、肥沃な土地を求めて房総の地に上陸した際、最初に足を踏み入れた場所が布良の駒ケ崎だったとされています。駒ケ崎の東にそびえる二つの峰は、それぞれ男神山、女神山と呼ばれ、男神山には祖神である天太玉命、女神山には御后である天比理乃咩命が祀られています。

天富命はその後、より肥沃な土地を求めて布良本郷へと移り住み、「上の谷」に太玉命、「下の谷」に天忍日命の仮宮を建立しました。それぞれを上の宮、下の宮と称し、ここを拠点として房総の開拓を進めていったとされています。

天富命が安房を去った後、里の人々がその徳を偲んで社殿を造営したのが、現在の布良崎神社の始まりであると伝えられています。

概史

創建当初、神社は布良の家並みの中にありましたが、1703年（元禄16年）の大地震による津波で流失しました。その後、1876年（明治9年）には布良川の大火で焼失、さらに1879年（明治12年）には台風で倒壊するなど、度重なる災害に見舞われました。これらの災害を受けて、神社は遷座を決定し、1880年（明治13年）に社地整備を開始、1882年（明治15年）に竣工しました。現在の社殿は、1907年（明治40年）に着工し、1908年（明治41年）に落成したものです。

その後も、1915年（大正4年）には御即位記念として外域の玉垣が作られ、1930年（昭和5年）には神域が拡張されました。

2019年（令和元年）には、令和元年房総半島台風（台風15号）によって大きな被害を受け、拝殿が傾き、神輿蔵が倒壊し、収蔵されていた2基の神輿も大破しました。この被害を受け、布良地区の有志が神輿の修復委員会を立ち上げ、4000万円の寄付を募る活動を行いました。

境内

現在の境内には、本殿、幣殿、拝殿、社務所が建っています。神輿蔵には、白木造りの「大天皇」「小天皇」と呼ばれる神輿と子ども神輿が収められていましたが、2019年の台風により、本殿が傾き、神輿蔵が倒壊したため、神輿が下敷きになるなどの被害を受けました。社殿から海に向かって左側には、神輿庫、手水舎、三州瓦があり、右側には御神木、夫婦松、岩座があります。境内下には、細石、狛犬、大山津神が配置されています。

祭事

布良崎神社では、以下の祭事が執り行われています。

1月1日：歳旦祭 - 大漁祈願、海上安全を祈願して執り行われます。
6月12日：大祓式
7月：例祭 - 以前は7月20・21日に祭礼を実施していましたが、近年は第3土日が祭礼の日となっています。濱降神事とも呼ばれ、3基の神輿が境内に奉納されます。
12月31日：除夜祭

宝物・歴史資料

神社には、以下の宝物や歴史資料が保管されています。

宝物：石斧一個、石剣（石棒）一振、蔵王権限の像、素戔嗚尊大蛇退治の像
歴史資料：神社建設の寄付書類

交通

鉄道：JR東日本内房線館山駅から南へ約12km
バス：JRバス関東「安房自然村」バス停下車、徒歩1分
車：富津館山道富浦インターチェンジから、国道127号線、国道410号線で南へ約17km（約26分）

脚注

[参考文献]

千葉県神社名鑑刊行委員会編『千葉県神社名鑑』(千葉県神社庁発行、1987年）

[外部リンク]

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