師曠

師曠（しこう）について

師曠は、中国の春秋時代に活躍した楽人で、晋の平公に仕えていました。彼の生没年は不詳ですが、平公の耳に届く箴言を多く残し、その知恵と音楽の才能で名を馳せました。師曠の字は子野で、盲目であったこともありましたが、彼の音楽的才能は非常に高く評価されていました。

聴覚の天才

師曠の能力の一つは、音を聞き分ける鋭い感覚です。『蒙求和歌』には、彼が「整っている」と評される鐘の音を「整っていない」と見抜くほどの音感の持ち主であったと記されています。彼は、どんな音でもその清濁を聞き分けることができました。これは、盲であるにもかかわらず、彼の聴覚が普通の人々よりもはるかに優れていたことを示す一例です。

音楽の逸話

師曠には多くの逸話があります。彼が琴を弾くと、南から鶴が集まり、彼の楽曲によって風が吹いたり雨が降ったりすることがあったと伝えられています。このような話は、彼の音楽がだけでなく、自然にまで影響を与えたことを示唆しています。彼の演奏は、ただの娯楽ではなく、自然界と深く結びついていたのです。

『蒙求和歌』の歌

『蒙求和歌』の第十二巻、管絃部には、彼を讃える歌が収められています。それには次のような一節があります。
「山風にとふべかりけり花の鐘にまだ色かへぬ声のにほひを」この歌は、彼の演奏が持つ特別な美しさや音の響きを称賛しているようです。花の鐘の音と、その声に漂う香りは、まるで彼の音楽がもたらす影響を象徴しているかのようです。

師曠の影響

師曠の存在は、単なる音楽家という枠を超え、彼が存命の時から後の世にかけて、音楽や文化に与えた影響は計り知れません。彼の楽曲や教えは、多くの人々に受け継がれ、今日の音楽にも影響を与えています。また、音楽の持つ力や、感受性の大切さを教えてくれる存在でもあります。

彼の伝説は、今なお人々の心に深く刻まれており、音楽の美しさと科学（音響学）との関係も考えさせられます。師曠の名は、単なる過去の偉人にとどまらず、音楽がもたらす感動や自然との調和を象徴しています。彼の功績を知ることで、音楽の力を再認識することができるでしょう。

もう一度検索