帯広市市歌

帯広市市歌について

北海道帯広市の公式な市歌である「帯広市市歌」は、1952年に制定されました。この曲は、作詞を外山雅一（実際の作詞者は高橋淳）、作曲を伊福部昭がそれぞれ担当しています。

制定までの経緯

市歌の制定は1953年の開基70周年と市制施行20周年を控え、市民から歌詞を公募したことから始まりました。そこで選ばれた歌詞に基づき、伊福部昭が作曲を行い、1952年3月31日には帯広市議会の議決を受けて正式に市歌として制定されました。

帯広市役所では毎週月曜日の昼休みに市歌の演奏が行われ、市民の間での認知度向上に努めています。また、小学校の社会科副読本や『おびひろくらしのガイド』においても市歌が紹介されており、広く普及が図られています。

音楽的評価

音楽プロデューサーの西耕一は、日本経済新聞への寄稿において伊福部昭の作品の中で特に感動を受けた曲として「帯広市市歌」を挙げ、そのメロディが聴く人に帯広の自然を思い起こさせると述べています。このように、市歌は帯広の風景や市民の生活と深く結びついていることが伺えます。

その他の市歌

帯広市では市歌の他にも、1972年に市民愛唱歌として「光る風のなかに」、1981年には郷土の歌として「おびひろラプソディー」が制定されており、これら3曲は市の公式サイトでも紹介されています。これにより、市の文化的なアイデンティティが一層深まり、地域に根付いた歌が市民に愛されています。

作詞者の背景

「帯広市市歌」の作詞者については、当初は外山雅一とされ、経歴は不明でした。しかし、1986年に高橋淳が実作者であることが判明しました。高橋は室蘭市出身で、若くして結核を患ったため大学への進学を断念。療養中に「高橋銀河」という名義で詩作に取り組んでいました。

戦後になってからは公募による懸賞での受賞が増え、他の歌も手がけていました。なお、彼は生前に帯広を訪れることはありませんでしたが、知人から聞いた町のイメージをもとに歌詞を書いたと考えられています。高橋は1951年に26歳で亡くなりましたが、「帯広市市歌」が彼の遺作となったのです。

音楽とメディア

「帯広市市歌」は制定時にビクターレコードからレコード化され、服部正の編曲、柴田睦陸の歌唱によって広まりました。また、2016年に発売されたアルバム『伊福部昭の団体歌』にも、河内春香によるカバーが収録されています。これにより、現代の音楽シーンでも市歌の息は途切れることなく、引き継がれています。

終わりに

帯広市の市歌は、単なる行政の歌ではなく、地域の自然や人々の生活が詰まった文化的な財産です。これからも市民によって愛され続けることでしょう。

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