帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令

『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』

概要

『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』は、DAICON FILMが制作した特撮自主映画です。1983年に開催された日本SF大会「DAICON4」のプロモーション活動の一環として、8ミリフィルムで創られたこの作品は、28分間の上映時間を誇ります。総監督及び主演を努めたのは庵野秀明で、特技監督は赤井孝美が担当しました。庵野は本作の完成直前に監督の座を譲ることになり、赤井がその役目を引き継ぎました。脚本は岡田斗司夫が手掛け、プロデューサーには武田康廣と澤村武伺が名を連ねています。

作品のタイトルは、かつて制作した短編映画の続編として「帰ってきた」という意味が込められています。この映画は、円谷プロダクションとTBSが手掛けた1971年から1972年の特撮テレビドラマ『帰ってきたウルトラマン』に強くインスパイアされており、他のウルトラシリーズや特撮作品へのオマージュも多く含まれています。

ストーリー

映画の冒頭、平和な街のヒラツネ市に隕石が突如落下し、市街地は壊滅的な被害を受けます。地球防衛機構の怪獣攻撃隊MATの隊長イブキは、被害状況を報告すると共に、隕石が宇宙人による侵略の手段であると判断し、出撃を命じます。

その後、MAT基地から派遣されたマットジャイロ部隊が隕石から現れた3体の生命体に立ち向かうものの、攻撃は失敗し、これらの生命体が合体して巨大な怪獣「バグジュエル」となります。さらなる攻撃命令が下され、イブキは自らの搭乗機マットアロー1号で出撃しますが、怪獣の反撃により撃墜されてしまいます。

映画は特に伊吹隊長とハヤカワ隊員の葛藤を描いており、イブキは生存者を見殺しにするか否かの難しい選択を迫られます。このシーンでは人間ドラマが織り交ぜられ、見る者に強いメッセージを伝えています。

さらに、ハヤカワ隊員は変身アイテム「ウルトラアイ」を使ってウルトラマンに変身します。その後、ウルトラマンは怪獣と激しい戦闘を繰り広げ、自らの命を賭けて怪獣を撃破します。

登場キャラクター

• - ウルトラマン: 円谷プロ版のウルトラマンジャックをベースにしたヒーロー。パロディ要素を含みながらも、自己の強さと使命感を持つキャラクター。
• - イブキ隊長: MATの隊長。冷徹ながらも生存者の命を考えるキャラクター。
• - ハヤカワ・ケン（早川健）: MAT隊員でウルトラマンに変身する若者。強い倫理感を持つ。
• - バグジュエル: 増殖怪獣。特異な能力を持ち、ウルトラマンと対峙します。

音楽と映像

本作品における主題歌には「戦え! ウルトラマン」が使用されており、劇中に引用されるBGMも円谷プロ製作の作品から流用されています。特に映像と音楽が融合して、特撮の魅力を最大限に引き出しています。

作品の流通

『帰ってきたウルトラマン マットアロー1号発進命令』は初めて制作された後、様々なメディア形式で販売されましたが、製作元の許諾を受けない形での配布も行われていました。後に円谷プロと共同で合法的にDVDやBlu-rayとして販売されるようになります。

このように、DAICON FILM制作のこの特撮映画は、特撮ファンとウルトラマンフランチャイズの歴史の一部として現在も多くの支持を受けています。

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