常磐ホテル

常磐ホテル

常磐ホテルは、山梨県甲府市、湯村温泉に位置する格式高い老舗ホテルです。1929年（昭和4年）の開業以来、その質の高いサービスと美しい佇まいで、多くの賓客をもてなしてきました。

概要

「皇室御用達」のホテルとして知られ、昭和天皇をはじめとする皇族が宿泊した記録が残っています。太平洋戦争末期には陸軍大学校の疎開先にもなりました。「甲府の迎賓館」という別名は、その格式の高さを物語っています。

文化人にも愛され、山口瞳、松本清張、井伏鱒二など、多くの作家が定宿として利用しました。特に、離れにある「白根の間」は、松本清張の小説『波の塔』が執筆された場所として知られています。「白根の間」は現在も保存されており、宿泊することも可能です。

近年では、将棋や囲碁のタイトル戦の対局場としても頻繁に利用されています。1954年の王将戦を皮切りに、王座戦、竜王戦、名人戦、棋聖戦など、数々の重要な対局が開催されてきました。囲碁の名人戦においては、山梨県内で過去に行われた11回の対局全てが常磐ホテルを舞台としています。ホテル側は、対局が最終局になることを歓迎しており、主催者からの信頼も厚いようです。ホテルには「6局目7局目に指定していただくのは、逆に主催者からの信頼の証」という言葉が残っています。

系列ホテルとして、石和温泉にある「石和常磐ホテル」があります。

施設

客室数は全50室と少なめですが、東館、西館、離れと趣の異なる建物があります。自家源泉を持ち、離れの露天風呂は源泉かけ流しです。中でも約3000坪の広さを誇る日本庭園はホテルの自慢で、米国の日本庭園専門誌によるランキングで常に上位にランクインしています。宴会場も充実しており、大規模な会議や宴会にも対応可能です。館内には「名人の小径」と名付けられた廊下があり、過去の棋戦で使用された棋士の色紙や写真などが展示されています。

エピソード

2014年から社長を務める笹本健次氏は、ネコ・パブリッシングの創業者であり、自動車雑誌の編集長も兼任しています。そのため、ホテルでは自動車関連のイベントが開催されたり、電気自動車用の充電設備が整備されたりするなど、ユニークな取り組みも行われています。

創業は1929年ですが、現在の法人は2016年に設立されたものです。旧法人は経営難に陥り、新旧分離を経て特別清算されました。

常磐ホテルは、歴史と伝統、そして新しい試みが融合した、魅力あふれるホテルです。

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