常陸山谷右エ門

常陸山谷右エ門について

常陸山 谷右エ門（ひたちやま たにえもん、1874年1月19日 - 1922年6月19日）は、茨城県水戸市出身の著名な大相撲力士であり、第19代横綱に輝きました。本名は市毛 谷右衛門（いちげ たにえもん）です。彼は大相撲を「国技」として確立させ、「角聖」と呼ばれるほどの品格と力量を誇りました。出羽ノ海部屋の師匠としても知られ、数多くの横綱や大関を育て上げ、相撲界の伝統や文化を築くことに大きく貢献しました。特に、ちゃんこ鍋や後援会の制度の導入により、相撲の社会的地位向上にも寄与したとされています。

初期の生涯

常陸山は1874年、旧水戸藩士の家に生まれました。父、市毛高成は明治維新後、河川運送業を営んでいましたが、経営不振により倒産。その影響で水戸中学校を中退し叔父のもとで剣道を学びながら東京専門学校への進学を目指しました。剣道の稽古中に示した怪力が評価され、内藤高治から力士を勧められました。市毛少年はともに子供相撲での経験を経て、1890年に出羽ノ海部屋に入門しました。

力士としてのキャリア

1891年に初土俵を踏むと、翌年には序ノ口に昇進。1894年には「常陸山」の名に改名し、1895年には幕下へ進出しましたが、しばしば負け越すこともありました。このような困難にもかかわらず、1897年には再度東京相撲に帰参しました。出羽ノ海は彼の帰参を激しく喜び、破格の待遇を与えました。

復帰後、常陸山は順調に成績を伸ばし、1899年には新入幕を果たしました。以降、関脇、大関と昇進し、1903年には全国的な注目を集める存在となりました。そして1904年の綱取り場所で全勝優勝を果たし、横綱に昇進しました。彼の横綱昇進は、横綱の地位を確立する重要な出来事とされています。

引退後の影響

引退後も常陸山は指導者としての地位を確立し、厳しくも愛情深い指導で知られました。弟子たちへの指導を通じて、相撲界に多くの横綱や大関を輩出しました。また、出羽ノ海部屋を一代で大部屋へと成長させた功績は大きく評価されました。

常陸山は1922年、48歳で関節炎からの敗血症により亡くなりました。彼の葬儀は史上初の協会葬として執り行われ、その葬列は多くの人々によって見送られました。彼の遺族も讃えられ、その等身大の偉大さは今もなお語り継がれています。

人物像

常陸山は非常に厳格な性格で、力士たちの生活や稽古に関する規律を徹底しました。相手をじっくりと力を出させてから勝負を挑むスタイルを持ち、突き出しや吊り出しを得意としました。彼の相撲スタイルは後の横綱たちにとって模範とされ、多くの力士がその精神を引き継いでいます。

常陸山はまた、相撲を国技として位置づける努力を重ね、当時の風潮を変えていきました。彼の生涯や功績は、今後の相撲界にとっても重要な指針となり続けることでしょう。

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