常陽

常陽の概要と歴史

常陽（じょうよう）は、茨城県東茨城郡大洗町に位置し、日本原子力研究開発機構（JAEA）が管理する高速増殖炉の実験炉です。この炉は日本初の高速増殖炉として開発され、主に技術・データ収集や基礎研究を目的として1970年代から運用が始まりました。しかし、2007年に発生した事故により稼働を停止しています。

概要

常陽は、高速増殖炉技術や新型炉の開発を進めるための基盤研究を目的に設計されました。新型炉の開発を促進するために国産技術の育成を目指しました。常陽では、燃料や材料に関する照射試験も実施されており、そのデータは後の原型炉「もんじゅ」の建设に寄与しました。また、市場向けにこれらの施設が提供されていたこともあります。

名前の由来

常陽という名前は、江戸時代の茨城県東部に存在した常陸国にちなんでいます。この名称は日本の今後のエネルギー資源の開発を象徴するものとなっています。当初、「法蔵」という提案もありましたが、地名を重視した結果、「常陽」に変更されることに決まりました。

現況と再稼働への道

常陽は2007年以来稼働を停止しており、その理由はMARICO-2と呼ばれる実験装置の破損事故にあります。運転再開を目指す中、2011年には福島第一原発事故が発生し、原子力に対する規制や世論が厳しくなりました。JAEAは再稼働について熱出力を制限し、耐震性や安全対策に係る改修工事も進めているため、コストがかさみましたが、2023年には原子力規制委員会の審査に合格しました。

2021年、日本原子力研究開発機構は再稼働時期を2024年度末に延期すると発表しました。この背景には、新しい安全基準に基づく審査が長引いている状況があるためです。2023年には安全対策が新基準に適合するとの評価を受け、運転再開を目指しています。

未来に向けた展望

国際的な高速炉開発にも寄与できるとして、2024年度末の再稼働を目指しており、新たな医療用途として放射性物質アクチニウム225の生産を予定する申請もしています。これは、がん治療薬としての使用を見込んでおり、国立がん研究センターとの共同で進められています。これにより、常陽は新しいエネルギーの可能性を切り開くだけでなく、医療分野にも貢献することが期待されています。

炉心と技術的仕様

常陽はその利用目的に応じて炉心の構成を変更することができ、現在はMk-III炉心が使用されています。この炉心では、高速中性子を利用した材料試験などが行われています。具体的にはナトリウム冷却型の高速増殖炉であり、最大熱出力は14万kWに達します。過去にはMK-IやMK-II等の炉心が存在し、それぞれの性能試験を経て現在に至ります。

歴史の振り返り

常陽は1960年に設計が始まり、1971年からの建設を経て1977年には初臨界を達成しました。1997年以降は速度を伸ばし、常陽の運転は続いていましたが、2007年の事故以降は現在の休止状態に至っています。これまでの歴史的な業績は、日本の原子力技術の発展に大きく寄与しています。過去の運転記録や進展を受けて、常陽は日本のエネルギー政策の重要な要素として今後も注目されるでしょう。

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