幕間劇

幕間劇（インテルメディオ）とは

幕間劇、またはインテルメディオは、ルネサンス時代のイタリアで生まれた、劇の幕間に上演された音楽のことです。オペラの先駆けとなった音楽形式の一つとして知られています。

歴史

15世紀後期に誕生し、17世紀まで上演されました。特に16世紀後半に発展のピークを迎えましたが、1600年以降はオペラに吸収される形で衰退。その後は、学校などを舞台とした音楽を含まない演劇として存続し、オペラの幕間に上演されることもありました。

音楽の特徴

幕間劇のために書き下ろされた音楽はほとんど残っていません。多くは、既存のマドリガーレや器楽曲が転用されました。題材は神話や牧歌が多く、衣装をまとった歌手や俳優がマイムやダンスを交えて表現しました。

フィレンツェやフェラーラなどの都市では、貴族の結婚式や公式行事の際に上演されました。特に、メディチ家の結婚式で上演された幕間劇は詳細な記録が残っており、当時の音楽や演出を知る上で貴重な資料となっています。絵画や彫刻が施された豪華な舞台セットも存在していました。

音楽は、器楽編成のものから、歌手・ダンサー・マイムが登場するもの、凝った演出のものまで、時代によって様々でした。時には、これらの要素が全て取り入れられた、大規模な幕間劇も存在しました。

劇中劇としての発展

16世紀になると、幕間劇は複雑化し、「劇中劇」の様相を呈するようになります。例えば、5幕の劇の間に挿入される4つの幕間劇が、劇の進行に合わせた隠喩として構成されることもありました。1539年にフィレンツェで上演された「Il commodo」では、4つの幕間劇がそれぞれ朝・真昼・午後・夜をテーマとし、舞台上には機械仕掛けの太陽が登場し、時刻に合わせた歌や踊りが披露されました。

幕間劇の豪華さが増すにつれて、劇自体が幕間劇のための繋ぎとして見られるようになり、幕間劇が独立した芸術形式として発展する素地が生まれました。その結果、歌と複数の幕という特徴が組み合わさり、オペラへと発展していきました。

他の国への影響

フランスでも、独自の幕間劇（intermedie）が発展しましたが、イタリアの幕間劇に比べてダンスの要素が強いのが特徴です。また、イングランドの「仮面劇（マスク）」も幕間劇と類似点が多いものの、起源は異なり、独自の社会的娯楽として発展しました。

参考文献

Article "Intermedio", in The New Grove Dictionary of Music and Musicians, ed. Stanley Sadie. 20 vol. London, Macmillan Publishers Ltd., 1980. ISBN 1-56159-174-2
Gustave Reese, Music in the Renaissance. New York, W.W. Norton & Co., 1954. ISBN 0-393-09530-4
* The New Harvard Dictionary of Music, ed. Don Randel. Cambridge, Massachusetts, Harvard University Press, 1986. ISBN 0-674-61525-5

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