マドリガーレ

マドリガーレ (madrigale)

マドリガーレは、イタリア発祥の歌曲形式の名称です。時代と形式が異なる2つの種類が存在します。

中世マドリガーレ (14世紀マドリガーレ)
ルネサンス・マドリガーレ

中世マドリガーレは短期間で廃れてしまったため、一般的にマドリガーレという場合は、ルネサンス・マドリガーレを指します。どちらもペトラルカやボッカチオの詩を題材にすることが多かったため、ルネサンス期の楽譜出版者が同じ名前を付けたという説があります。

中世マドリガーレ

14世紀初頭のトレチェント音楽初期に、北イタリアのロンバルディア地方の宮廷で演奏された、イタリア最初の多声歌曲です。3つの詩句でできた詩節が、リフレインされる詩句（リトルネッロ）を挟んで連なる形式を持ちます。しかし、形式が堅苦しく感情表現が難しかったため、すぐにバッラータに取って代わられ、衰退しました。この形式が復活することはありませんでした。

代表的な作曲家として、ヤコポ・ダ・ボローニャが挙げられます。

ルネサンス・マドリガーレ

16世紀初頭、フロットラの流行の中から現れた形式です。詩節やリフレインのない自由詩を用い、テキストの抑揚に合わせてメロディーが作られました。感情表現を豊かにするために、ポリフォニーやモテットの様式、模倣対位法、半音階法、二重合唱法など、あらゆる音楽形式が取り入れられ、多くの作曲家が作品を制作しました。

17世紀に入るとカンタータに取って代わられましたが、その後もこの形式で作品を残した作曲家も存在します。

代表的な作曲家としては、初期のアドリアン・ヴィラールト、中期のチプリアーノ・デ・ローレ、後期のカルロ・ジェズアルド、ルーカ・マレンツィオ、クラウディオ・モンテヴェルディなどが挙げられます。

派生

宗教マドリガーレ

信徒会やオラトリオ会などの民間宗教団体の集会で演奏するために、宗教的な内容のマドリガーレも作られました。代表的な作曲家として、ジョヴァンニ・ダ・パレストリーナが挙げられます。

マドリガル・コメディ

16世紀末に現れた仮装の即興演劇コンメディア・デッラルテのうち、ヴェネツィアでは対話形式でマドリガーレを歌いながらコメディを演じる形式が現れました。

イングリッシュ・マドリガル

エリザベス朝イングランドの宮廷作曲家たちによって、イタリアの形式を模倣して作られました。しかし、イタリアのものほど複雑ではなく、和声を主体にした曲が多いのが特徴です。代表的な作曲家として、ウィリアム・バードが挙げられます。

関連項目

中世西洋音楽
中世西洋音楽の作曲家一覧
ルネサンス音楽
ルネサンス音楽の作曲家一覧

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